手続き2026年5月31日最終更新: 2026.05.31

この記事の要点

  • 遺族年金には①遺族基礎年金(国民年金法第37条以下)、②遺族厚生年金(厚生年金保険法第58条以下)、③寡婦年金・死亡一時金(国民年金独自)の3種類
  • 遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」が受給対象(国民年金法第37条の2)。子は18歳到達年度末(障害状態は20歳)まで
  • 遺族厚生年金は配偶者・子・父母・孫・祖父母の順で受給可能。受給額は被保険者の老齢厚生年金額の3/4(厚生年金保険法第60条)
  • 遺族年金は所得税法第9条1項3号により非課税。相続税法上も「みなし相続財産」に含まれず相続税の対象外

大切な家族を亡くした後の生活を支える「遺族年金」。これは年金制度に基づいて支給される公的給付であり、相続財産そのものではありませんが、遺された家族の生活設計に大きく関わる重要な制度です。

遺族年金には、国民年金から支給される「遺族基礎年金」と、厚生年金から支給される「遺族厚生年金」があり、亡くなった方の加入していた年金制度や遺族の状況によって、受給できる年金の種類や金額が異なります。本記事では、根拠条文を示しながら遺族年金の基礎知識を解説します。

遺族年金の3種類

遺族年金は、大きく次の3種類に分けられます。

  • 遺族基礎年金:国民年金法第37条以下に基づく給付。自営業者や専業主婦などの第1号被保険者・第3号被保険者を含む全ての国民年金加入者の遺族が対象
  • 遺族厚生年金:厚生年金保険法第58条以下に基づく給付。会社員・公務員などの厚生年金加入者の遺族が対象
  • 寡婦年金・死亡一時金:国民年金法第49条以下に基づく国民年金独自の給付。第1号被保険者期間がある場合の補完的給付

遺族基礎年金(国民年金法第37条以下)

受給対象:子のある配偶者・子

遺族基礎年金は、国民年金法第37条の2により、被保険者または被保険者であった者の死亡当時、その者によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に支給されます。

ここでいう「子」とは、(1)18歳に達する日以後の最初の3月31日(18歳到達年度末)までの間にあって婚姻をしていない子、または(2)20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級に該当する障害の状態にある婚姻をしていない子をいいます(国民年金法第37条の2第1項)。

受給要件:被保険者の保険料納付要件

遺族基礎年金の受給には、亡くなった方について次のいずれかの要件を満たす必要があります(国民年金法第37条)。

  • 被保険者が死亡したとき
  • 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満である者が、死亡したとき
  • 老齢基礎年金の受給権者であった者が、死亡したとき(受給資格期間25年以上の者)
  • 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている者が死亡したとき(同上)

また、原則として、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が、当該被保険者期間の3分の2以上あることが必要です(保険料納付要件)。なお、特例として、死亡日の前々月までの直近1年間に保険料の滞納がなければ要件を満たすものとされる経過措置があります(令和8年3月31日までの死亡について)。

年金額(2025年度):基本額+子の加算

遺族基礎年金の年金額は、老齢基礎年金の満額を基本に、子の加算額が付きます。日本年金機構の公表値(2025年度)によれば、概ね次の通りです(最新の年度改定は厚生労働省の告示等で確認が必要)。

  • 基本額:老齢基礎年金満額相当(年額約83万円〜の概算)
  • 子の加算:第1子・第2子は1人につき年額約23万円、第3子以降は1人につき年額約7万8千円(概算)

具体的な額は毎年度改定されますので、最新額は日本年金機構の公式情報でご確認ください。

子の年齢制限:18歳到達年度末まで

子が18歳に達する日以後の最初の3月31日を経過すると、その子は遺族基礎年金の対象から外れます(障害等級1級・2級の場合は20歳まで)。「子のある配偶者」が受給していた場合、すべての子が年齢制限を超えると配偶者への遺族基礎年金も失権します(国民年金法第40条)。

遺族厚生年金(厚生年金保険法第58条以下)

受給対象:配偶者・子・父母・孫・祖父母(順位あり)

遺族厚生年金は、厚生年金保険法第59条により、被保険者または被保険者であった者の死亡当時、その者によって生計を維持されていた次の遺族に対し、優先順位に従って支給されます。

  • 第1順位:配偶者および子
  • 第2順位:父母
  • 第3順位:孫
  • 第4順位:祖父母

夫が遺族厚生年金を受け取れるのは、妻死亡時に55歳以上である場合に限られ、受給開始は原則60歳からです(厚生年金保険法第59条第1項第2号、第65条の2)。父母・祖父母も同様に55歳以上の年齢要件があります。一方、子・孫は18歳到達年度末まで(障害等級1級・2級は20歳まで)に限られます。

受給要件:厚生年金加入中の死亡または受給権者の死亡等

遺族厚生年金の受給には、亡くなった方について次のいずれかを満たす必要があります(厚生年金保険法第58条)。

  • 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
  • 被保険者であった間に初診日がある傷病により、初診日から5年以内に死亡したとき
  • 1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
  • 老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしている者が死亡したとき

遺族基礎年金と同様、原則として保険料納付要件(被保険者期間の3分の2以上の納付)も必要です。

年金額:老齢厚生年金の3/4

遺族厚生年金の年金額は、亡くなった方が受け取るはずだった老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3に相当する額です(厚生年金保険法第60条第1項第1号)。具体的には、平均標準報酬月額と被保険者期間の月数に基づき計算されます。

厚生年金加入中の死亡など短期要件で受給する場合は、被保険者期間が300月(25年)に満たないときは300月とみなして計算する短期要件特則があります(厚生年金保険法第60条第1項第1号但し書き)。

中高齢寡婦加算(40歳〜65歳)

夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で子のいない妻、または遺族基礎年金を受給していた妻が、子の年齢超過等で遺族基礎年金を失権した場合に40歳以上65歳未満であるときは、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます(厚生年金保険法第62条)。加算額は老齢基礎年金満額の4分の3相当額(2025年度概算で年額約62万円)です。

寡婦年金・死亡一時金(国民年金独自)

第1号被保険者として保険料を10年以上納付した夫が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らずに亡くなった場合、10年以上の婚姻関係にあった妻が60歳から65歳になるまでの間、寡婦年金を受給できます(国民年金法第49条)。

また、第1号被保険者として保険料を3年以上納付した者が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受給しないまま亡くなり、その遺族が遺族基礎年金を受けられない場合は、死亡一時金が支給されます(国民年金法第52条の2)。寡婦年金と死亡一時金はどちらか一方の選択となります。

併給調整

遺族基礎年金+遺族厚生年金は併給可能

同一の死亡を支給事由とする遺族基礎年金と遺族厚生年金は、併給することができます。会社員の夫を亡くし、子のある妻であれば、両方を受給できる典型例です。

自身の老齢年金との調整(65歳以後)

65歳以後は、自分の老齢基礎年金・老齢厚生年金と、配偶者の死亡による遺族厚生年金との間で調整があります。原則として、自分の老齢厚生年金が優先支給され、遺族厚生年金との差額が支給される仕組みです(厚生年金保険法第38条等)。具体的な調整方法は、(1)亡くなった配偶者の遺族厚生年金額と、(2)自分の老齢厚生年金の半額+亡くなった配偶者の遺族厚生年金の3分の2 のいずれか高い方が遺族厚生年金として支給されるなど、複雑な計算があります。

税制上の取扱い

所得税:非課税(所得税法第9条1項3号)

遺族年金は、所得税法第9条第1項第3号により非課税所得とされており、所得税・住民税はかかりません。年末調整や確定申告でも収入として計上する必要はありません。

相続税:対象外

遺族年金は、受給権者固有の権利として法律上当然に発生するものであり、被相続人から承継された財産ではないため、相続税法上のみなし相続財産にも該当せず、相続税の課税対象外です。なお、被相続人が受け取るはずだった「未支給年金」については別途取扱いが異なります(後述)。

申請手続き(年金事務所)

必要書類

遺族年金の請求には、最寄りの年金事務所または年金相談センターに以下の書類を提出します。

  • 年金請求書(遺族基礎年金用・遺族厚生年金用)
  • 亡くなった方の年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 亡くなった方と請求者の戸籍謄本(死亡の事実と続柄が分かるもの)
  • 世帯全員の住民票(生計維持を証明)
  • 亡くなった方の住民票の除票
  • 請求者の収入を証明する書類(所得証明書等)
  • 子の在学証明書または学生証の写し(高校生の子等がいる場合)
  • 振込先金融機関の通帳の写し
  • 死亡診断書または死体検案書のコピー

申請期限:時効5年(国民年金法第102条)

遺族年金の支給を受ける権利は、国民年金法第102条第1項により5年で時効消滅します。厚生年金保険法第92条にも同様の規定があります。死亡から5年以内に必ず請求手続きを行いましょう。

未支給年金の請求

亡くなった方が受け取るはずだった年金のうち、死亡時にまだ支給されていなかったものは「未支給年金」として、生計を同じくしていた一定範囲の遺族が請求できます(国民年金法第19条、厚生年金保険法第37条)。請求できる遺族の範囲と順位は、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹、その他三親等内の親族です。

未支給年金は、受け取った遺族の一時所得として所得税の対象になります(国税庁の見解)。相続税ではない点に注意が必要です。

当センターでの対応事例

新座市Xさんのケース(社労士法人みらいと連携) 新座市にお住まいだったXさん(50代)はご主人を亡くされ、中学生のお子様2人を抱えて将来への不安を抱えていらっしゃいました。当センターで相続手続き全般をサポートする中で、社会保険労務士法人みらいと連携し、遺族基礎年金(妻+子2人分の加算)と遺族厚生年金(中高齢寡婦加算は子の加算終了後に適用)の請求を一貫して支援。死亡一時金の選択判定や、Xさんご自身の老齢年金との将来の併給調整の見通しまでお伝えし、生活設計についての安心材料をご提供しました。

まとめ

遺族年金は、国民年金法・厚生年金保険法に基づく公的給付で、遺族基礎年金(子のある配偶者または子)、遺族厚生年金(配偶者・子・父母・孫・祖父母)、寡婦年金・死亡一時金の3つの柱から成り立っています。所得税法第9条1項3号により非課税であり、相続税の課税対象にもならない、遺族の生活を支える重要な仕組みです。

請求は時効5年で消滅しますし、要件や年金額の計算は複雑です。当センターでは、社会保険労務士法人みらいと連携し、相続手続きと年金請求をワンストップでサポートしております。無料相談でお気軽にご相談ください。

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※免責事項:本記事は2026年5月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。具体的なご相談は、専門家にお問い合わせください。

この記事の監修

株式会社 相続サポートセンター(みらいグループ)

税理士法人みらいを中心に、行政書士・社労士・不動産の専門家が連携。西東京市を拠点に、相続手続き・遺言書作成のワンストップサポートを提供しています。

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