不動産2026年4月28日最終更新: 2026.04.28

この記事の要点

  • 全国の空き家は約900万戸(総務省「令和5年住宅・土地統計調査」)に達し、相続による空き家化が深刻な社会問題となっている
  • 「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家対策特措法、2015年施行・2023年改正)に基づき、特定空家等に指定されると固定資産税の住宅用地特例(最大1/6)が解除され、最終的には行政代執行(解体)の対象となる
  • 相続した空き家を売却する場合、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除(3,000万円)が、租税特別措置法第35条3項により利用可能(2027年12月31日まで)
  • 不要な相続土地は2023年4月施行の「相続土地国庫帰属制度」(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)で国に引き取ってもらう選択肢もある

親が住んでいた実家を相続したものの、自分は別の場所に住んでおり、誰も住まなくなった「空き家」をどうすればよいのか――。これは、現代の日本において非常に多くの方が直面する問題です。西東京市・東久留米市・清瀬市・新座市など当センターのある地域でも、実家の空き家相続に関するご相談が増え続けています。

空き家は「とりあえず置いておく」という選択をしてしまうと、固定資産税の負担、近隣への迷惑、行政からの指導など、さまざまなリスクが顕在化します。この記事では、空き家を相続した際の選択肢と、放置することの法的・経済的リスクを詳しく解説します。

日本の空き家問題と相続

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は約900万戸に達し、総住宅数に占める割合(空き家率)は13.8%と過去最高を更新しました。このうち、賃貸・売却用や別荘などを除いた「使用目的のない空き家(放置空き家)」は約385万戸とされています。

空き家が増える主な原因の一つが「相続」です。親世代が亡くなった後、子世代がすでに独立して別の住居を構えているため、実家を相続しても住まないケースが多く発生しています。空き家は時間が経つほど傷みが進み、処分も活用も難しくなるため、相続発生後の早めの判断が重要です。

空き家を相続した時の主な選択肢

相続した空き家には、大きく分けて以下の6つの選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合った方法を選びましょう。

①売却する

もっとも一般的な選択肢が売却です。現金化することで相続人間の遺産分割もしやすくなり、固定資産税や管理の負担からも解放されます。後述する「相続空き家の3,000万円特別控除」を活用できれば、譲渡所得税を大幅に軽減できる可能性があります。

②賃貸活用する

立地条件が良ければ、賃貸物件として家賃収入を得る方法もあります。ただし、リフォームや原状回復の費用、入居者管理の手間、空室リスクなどを考慮する必要があります。

③自分で住む・別荘として使う

相続人自身が住む、あるいはセカンドハウスや別荘として活用する方法です。思い出のある実家を維持できる一方、維持管理コストは継続的に発生します。

④解体して更地にする

建物の老朽化が著しい場合は、解体して更地にする選択肢もあります。ただし、更地にすると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が上がる点に注意が必要です。

⑤相続放棄する

負債が多い、または明らかに価値のない不動産のみが遺産であるような場合は、相続放棄も選択肢になります。ただし、相続放棄は3ヶ月以内(民法第915条)という厳格な期限があり、預貯金などプラスの財産も含めて一切相続できなくなります。

⑥相続土地国庫帰属制度を利用する(土地のみ)

2023年4月27日に施行された「相続土地国庫帰属制度」を利用すると、不要な土地を国に引き取ってもらえる可能性があります。ただし、建物が建っている土地は対象外であり、解体が前提となります。詳しくは相続土地国庫帰属制度の解説記事をご覧ください。

空き家を放置するリスク

「とりあえず空き家のまま置いておく」という判断は、さまざまな深刻なリスクをもたらします。特に2015年に施行された空家対策特措法と、2023年の改正により、放置のリスクは法的にも大きくなっています。

特定空家等への指定(空家対策特措法第2条2項)

「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家対策特措法)第2条2項では、以下のような空き家が「特定空家等」に該当するとされています。

  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

市町村から特定空家等に指定されると、助言・指導、勧告、命令と段階的に行政指導が進み、最終的には行政代執行(強制的な解体)の対象となります。

固定資産税が最大6倍になる

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、200平米以下の部分について固定資産税が最大1/6に軽減されています。しかし、特定空家等に指定された後に「勧告」を受けると、この住宅用地特例の対象から除外され、結果として固定資産税の負担が最大6倍に跳ね上がります(地方税法第349条の3の2)。

行政代執行(解体)の費用負担

「命令」にも従わない場合、市町村は行政代執行により強制的に建物を解体できます。解体費用は所有者に請求され、支払えない場合は財産の差押えに発展することもあります。木造住宅の解体費用は1棟あたり100万円〜300万円程度が一般的です。

損害賠償責任のリスク

空き家の屋根瓦が落下して通行人がケガをした、塀が倒れて隣家に損害を与えたといった場合、所有者は土地工作物責任(民法第717条)に基づき損害賠償責任を負います。空き家を放置することは、こうした賠償リスクを抱え続けることにもなります。

2023年改正:管理不全空家等の新設

2023年(令和5年)12月13日に施行された改正空家対策特措法では、新たに「管理不全空家等」という区分が設けられました。これは、特定空家等になる前の段階、つまり「そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態」の空き家を指します。

管理不全空家等にも市町村から「指導・勧告」が行われ、勧告を受けると特定空家等と同様に住宅用地特例が解除されます。つまり、より早い段階で固定資産税が最大6倍になる可能性があり、空き家所有者は従来以上に注意が必要となりました。

相続空き家の3,000万円特別控除(租税特別措置法第35条3項)

相続した空き家を売却する場合に、ぜひ知っておきたいのが「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除でき、譲渡所得税を大幅に軽減できます。

適用要件

主な適用要件は以下のとおりです。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(旧耐震基準)
  • 区分所有建物登記がされていない建物(マンション等は対象外)
  • 相続発生時に被相続人が一人で居住していたこと
  • 相続から譲渡まで、事業・貸付・居住の用に供されていないこと
  • 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
  • 譲渡対価が1億円以下であること
  • 譲渡時に耐震リフォーム済み、または家屋を取り壊した後の更地での譲渡であること
  • 令和9年(2027年)12月31日までの譲渡であること

2024年1月以降の改正

2023年度税制改正により、2024年(令和6年)1月1日以降の譲渡からは、買主による耐震改修・取壊しも特例の対象となるよう要件が拡充されました。具体的には、譲渡日から譲渡日の属する年の翌年2月15日までに買主が耐震改修工事または取壊しを行えばよいとされ、売主側で事前に工事を済ませておく必要がなくなりました。これにより、空き家の売却がより活用しやすくなっています。

また、相続人が3人以上いる場合は、特別控除の上限が1人あたり2,000万円に減額される改正も同時に行われています。詳細な適用判定は税理士にご相談ください。

相続登記の義務化と空き家

2024年(令和6年)4月1日から、相続登記が義務化されました(不動産登記法第76条の2)。相続により不動産を取得した相続人は、所有権取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なく違反すると10万円以下の過料に処される可能性があります。

この義務化は、施行日前に発生した相続にも遡及適用されます(経過措置として2027年3月31日まで)。空き家であっても、相続登記を放置することはできません。詳しくは不動産の名義変更に関する解説記事をご覧ください。

空き家を活用する具体策

売却以外の活用方法にも、いくつかの選択肢があります。立地や建物の状態、相続人のご事情に応じて検討しましょう。

リフォーム賃貸

建物の状態が比較的良好で、賃貸需要のある立地であれば、リフォーム後に賃貸物件として活用する方法があります。初期投資は必要ですが、安定的な家賃収入が得られる可能性があります。

民泊・シェアハウス

観光地や都心近郊では、民泊(住宅宿泊事業法)やシェアハウスとしての活用も選択肢になります。ただし、自治体ごとの条例や届出制度を確認する必要があります。

自治体の空き家バンク

多くの自治体が「空き家バンク」を運営しており、空き家の売買・賃貸を希望する方とのマッチングを支援しています。仲介手数料が不要なケースもあるため、まずは所在地の自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。

当センターでの対応事例

清瀬市にお住まいのGさんは、亡くなったお父様の実家(昭和50年代築の戸建て)を相続されました。すでにご自身は新座市に持ち家があり、実家には住む予定がなかったため、当センターにご相談いただきました。

建物が旧耐震基準で建築されており、3,000万円特別控除の要件を満たすことを確認。買主による解体を前提とした更地引渡しの方針で売却を進め、結果として譲渡所得から3,000万円を控除した上で譲渡所得税が実質ゼロとなりました。相続発生から約10ヶ月で売却を完了し、固定資産税の負担からも解放されています。

まとめ

空き家の相続は、現代の日本において誰もが直面しうる問題です。放置すれば固定資産税の負担増、近隣トラブル、行政指導など、リスクは大きくなる一方です。一方で、3,000万円特別控除や相続土地国庫帰属制度など、活用できる制度も整備されつつあります。

東久留米市・西東京市など当センターの地域でも、空き家相続のご相談は年々増えています。相続発生後できるだけ早い段階で、売却・活用・放棄など総合的な判断を行うことが大切です。当センターでは無料相談を実施しておりますので、お気軽にご相談ください。

関連記事として不動産の名義変更(相続登記)の手続き相続登記に必要な書類相続放棄の手続き方法もあわせてご覧ください。

当センターの実績 当センターでは、清瀬市・西東京市・東久留米市・新座市の空き家相続に関し、3,000万円特別控除を活用した譲渡所得税ゼロでの売却支援、相続土地国庫帰属制度の申請サポート、買主による解体前提の売却スキーム構築など、多数の実績があります。

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※免責事項:本記事は2026年4月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。具体的なご相談は、専門家にお問い合わせください。

この記事の監修

株式会社 相続サポートセンター(みらいグループ)

税理士法人みらいを中心に、行政書士・社労士・不動産の専門家が連携。西東京市を拠点に、相続手続き・遺言書作成のワンストップサポートを提供しています。

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