相続税2026年5月21日最終更新: 2026.05.21

この記事の要点

  • 事業承継税制は、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)に基づき、非上場株式の相続税・贈与税の納税を猶予する制度(租税特別措置法第70条の7の2、第70条の7の4等)
  • 一般措置(恒久制度)と特例措置(時限措置:2018年4月〜2027年12月31日まで)の2種類がある。特例措置は要件が緩く、納税猶予割合が100%(一般措置は80%)
  • 特例措置の活用には「特例承継計画」を都道府県知事に提出する必要がある(提出期限は法令の最新動向を要確認)
  • 猶予税額は事業継続・株式保有等の要件を5年間(特例期間)満たせば猶予継続。途中で要件違反すると利子税付きで全額納付

中小企業の後継者への事業承継において、自社株式(非上場株式)の評価額が高額となり、相続税・贈与税の負担が事業継続の障害となるケースが多く発生しています。この負担を軽減する制度が「事業承継税制」です。

この記事では、事業承継税制の一般措置と特例措置の違い、適用要件、手続きの流れ、注意点について、清瀬市の相続専門家が詳しく解説します。

事業承継税制とは(経営承継円滑化法)

事業承継税制は、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)」に基づき、後継者が先代経営者から非上場株式を相続または贈与により取得した場合に、その株式に係る相続税・贈与税の納税を猶予・免除する制度です。

根拠条文は租税特別措置法第70条の7(贈与税)、第70条の7の2(相続税)、特例措置として第70条の7の5、第70条の7の6等に定められています。

一般措置と特例措置の違い(比較表)

事業承継税制には「一般措置」(恒久制度)と「特例措置」(時限措置)の2種類があります。主要な違いは以下のとおりです。

猶予割合:80% vs 100%

  • 一般措置:相続税の80%(贈与税は100%)
  • 特例措置:相続税・贈与税ともに100%納税猶予

対象株式:発行済議決権株式の2/3まで vs 全株式

  • 一般措置:発行済議決権株式総数の3分の2まで
  • 特例措置:取得した全株式が対象

後継者の数:1人 vs 最大3人

  • 一般措置:1人の後継者のみ
  • 特例措置:最大3人まで(議決権10%以上保有等の要件あり)

雇用維持要件:5年平均8割 vs 弾力化

  • 一般措置:承継後5年間の平均で雇用の8割を維持(未達の場合、猶予打切り)
  • 特例措置:8割を維持できなくても、理由を都道府県に報告すれば猶予継続

特例措置の活用期限

特例措置の対象となる贈与・相続は、2018年1月1日から2027年12月31日までに行われたものに限られます。それ以後の贈与・相続は一般措置のみの適用となります。

特例措置を利用するには、原則として事前に「特例承継計画」を都道府県知事に提出する必要があります。提出期限は税制改正で延長されている経緯がありますので、活用を検討する際は最新の改正動向を税理士・経済産業省(中小企業庁)の公表資料で必ず確認してください。

適用要件

会社の要件(中小企業基本法上の中小企業)

対象会社は、中小企業基本法第2条に定める中小企業者である必要があります。業種により資本金・従業員数の基準が異なります(例:製造業は資本金3億円以下または従業員300人以下)。また、上場会社・風俗営業会社・資産管理会社(一定の例外を除く)は対象外です。

先代経営者の要件

  • 会社の代表者であった(または代表者である)こと
  • 相続開始前または贈与時に、同族関係者と合わせて議決権の50%超を保有していたこと
  • 先代経営者と同族関係者の中で筆頭株主であったこと
  • 贈与の場合は、贈与時に代表者を退任していること

後継者の要件

  • 相続開始日の翌日から5ヶ月後までに、または贈与時に、会社の代表者となること
  • 同族関係者と合わせて議決権の50%超を保有することとなること
  • 同族関係者内で筆頭株主となること
  • 贈与の場合は、贈与時点で18歳以上かつ役員就任後3年以上経過していること

申請手続きの流れ

特例承継計画の提出(都道府県)

特例措置を利用する場合、認定経営革新等支援機関(税理士・金融機関等)の指導・助言を受けて作成した「特例承継計画」を、都道府県知事に提出します。計画には、後継者の氏名、事業承継の予定時期、承継後5年間の経営計画などを記載します。

相続発生・贈与

計画提出後、実際に相続または贈与が発生した時点で、認定要件を満たしているかを確認します。

都道府県の認定申請(相続開始から8ヶ月以内)

相続税の特例の場合、相続開始の日の翌日から8ヶ月以内に、都道府県知事に認定申請書を提出します。贈与税の場合は、贈与年の翌年1月15日までに申請します。

税務署への申告

相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)までに、認定書の写しを添付して税務署に申告します。納税猶予を受けるには、猶予税額に相当する担保(多くは対象株式そのもの)を提供する必要があります。

納税猶予中の手続き(年次報告、5年経過後は3年ごと)

納税猶予を継続するには、申告期限後5年間(特例期間)は毎年、都道府県への「年次報告書」と税務署への「継続届出書」の提出が必要です。5年経過後は3年ごとに継続届出書を税務署に提出します。提出を怠ると猶予が打ち切られます。

猶予の打切り事由

以下の事由が発生すると、納税猶予が打ち切られ、利子税とともに猶予税額の全額を納付しなければなりません。

  • 後継者が代表者を退任(やむを得ない事由を除く)
  • 対象株式の譲渡・贈与
  • 会社の解散
  • 資産管理会社に該当(一定の事業実態要件を満たさない場合)
  • 継続届出書の提出懈怠
  • 同族関係者で過半数の議決権を保有しなくなった場合

免除事由(後継者の死亡、次の後継者への贈与など)

以下の事由が発生すると、猶予税額が免除されます。

  • 後継者の死亡
  • 次の後継者への贈与(事業承継税制の適用を受けて)
  • 会社の破産・特別清算等
  • 同族関係者以外への株式譲渡(事業継続困難な事由がある場合の特例も)

メリット・デメリット

メリット:

  • 非上場株式の相続税・贈与税が最大100%猶予される(特例措置)
  • 事業承継時の納税資金の心配が大幅に軽減
  • 株式を売却せず後継者へ承継できる

デメリット:

  • 長期間の継続要件が厳しい
  • 要件違反時に利子税付きで全額納付の重いペナルティ
  • 計画策定・申請手続きが複雑(税理士等専門家の関与が必須)
  • 後継者の死亡など免除事由が発生するまで猶予が完全免除されない

当センターでの対応事例

事例:清瀬市Sさんのケース 清瀬市で製造業を営むS社(オーナー:Sさん70代)では、後継者である長男Tさんへの事業承継を検討。当センターでは認定経営革新等支援機関と連携して特例承継計画を策定し、都道府県への提出をサポート。Sさんが死亡した際、相続税の特例措置(100%納税猶予)を適用し、相続税の納税負担を一時的にゼロにしました。継続届出書の年次提出も継続的にサポートしています。

まとめ

事業承継税制(特例措置)は、中小企業の事業承継において非常に強力な制度ですが、適用期限が2027年12月31日までと限られており、要件も複雑です。早期の検討と準備が重要です。

事業承継税制の活用をご検討の方は、認定経営革新等支援機関と連携した専門家への相談が不可欠です。当センターでは無料相談を実施しておりますので、お気軽にご相談ください。

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※免責事項:本記事は2026年5月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。具体的なご相談は、専門家にお問い合わせください。

この記事の監修

株式会社 相続サポートセンター(みらいグループ)

税理士法人みらいを中心に、行政書士・社労士・不動産の専門家が連携。西東京市を拠点に、相続手続き・遺言書作成のワンストップサポートを提供しています。

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