要 この記事の要点
- 相続税の申告は税理士、不動産の登記は司法書士、揉めごとの解決は弁護士と、法律で独占業務が定められている
- 遺産分割協議書の作成や戸籍収集は4士業のいずれでも対応でき、書類作成だけなら行政書士が選択肢になる
- 「不動産があるか」「相続税がかかりそうか」「揉めているか」の3点で相談先はほぼ絞り込める
- 銀行・信託銀行の遺産整理業務は窓口が一本化される一方、最低報酬が高めに設定されていることが多い
相続の相談先を調べると、税理士・司法書士・弁護士・行政書士、さらには銀行や信託銀行まで出てきて、結局どこに行けばよいのか分からなくなります。しかも相続の手続きは、税金・登記・法律・書類作成が入り混じっているため、1つの資格だけですべてをカバーできるわけではありません。
この記事では、それぞれの士業が何をできて何をできないのかを対応範囲の一覧表で整理し、ご自身の状況に応じた相談先の選び方をご案内します。
4士業の対応範囲マトリクス
| 手続き | 税理士 | 司法書士 | 弁護士 | 行政書士 |
|---|---|---|---|---|
| 相続税の申告 | 〇 | × | △ | × |
| 不動産の相続登記 | × | 〇 | 〇 | × |
| 遺産分割協議書の作成 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
| 紛争の解決(交渉・調停の代理) | × | × | 〇 | × |
| 戸籍の収集・相続人の調査 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 預貯金の解約・払戻し手続き | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
| 相続放棄の申述書作成 | × | 〇 | 〇 | × |
| 遺言書の文案作成 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
〇=対応可能/△=一定の条件のもとで対応可能/×=法令上できない。
弁護士は税理士業務を行うこともできますが、実務上は相続税申告を税理士が担当することが一般的です。税理士による遺産分割協議書の作成は、相続税申告に付随する範囲で行われます。税理士による預貯金の解約は、申告業務に伴う資料収集の範囲にとどまります。
それぞれの独占業務を押さえる
「できる・できない」の線引きは、それぞれの資格法で定められた独占業務によって決まります。
税理士|税務代理・税務書類の作成・税務相談
税理士法第2条は、税務代理、税務書類の作成、税務相談を税理士の業務と定めています。そして同法第52条により、税理士でない者はこれらの業務を行うことができません。相続税の申告書の作成や、相続税がいくらかかるかという具体的な税務相談は、税理士だけが対応できます。
相続税は、不動産の評価の仕方や小規模宅地等の特例の適用判断によって税額が大きく変わります。相続を専門に扱う税理士かどうかで結果が変わりやすい分野でもあります。
司法書士|登記手続きの代理
司法書士法第3条により、登記または供託に関する手続きの代理は司法書士の業務とされ、同法第73条で司法書士でない者が業として行うことを禁止しています。不動産の相続登記(名義変更)を代理で申請できるのは、司法書士と弁護士だけです。
2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が必要になりました。不動産がある相続では、司法書士の関与がほぼ必須です。
弁護士|法律事件に関する法律事務
弁護士法第72条により、報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱うことは、弁護士でなければできません。相続人同士が対立していて、代理人として交渉したり、家庭裁判所の遺産分割調停・審判に出たりできるのは弁護士だけです。
他の士業は、「揉めていない前提で、決まった内容を書面にする」ことはできますが、依頼者の代理人として相手方と交渉することはできません。この線引きは重要です。
行政書士|官公署提出書類・権利義務に関する書類の作成
行政書士法第1条の2は、官公署に提出する書類、権利義務または事実証明に関する書類の作成を業務としています。遺産分割協議書、財産目録、自動車の名義変更、金融機関の相続手続き書類などの作成に対応できます。
登記や税務申告はできませんが、そこに至るまでの「書類を整える」工程を幅広くカバーできるのが特徴です。
悩み別・相談先の選び方
実際には、次の3つの質問に答えるだけで相談先はほぼ絞り込めます。
| あなたの状況 | まず相談すべき相手 | 理由 |
|---|---|---|
| 相続人同士で揉めている・話し合いにならない | 弁護士 | 代理人として交渉・調停ができるのは弁護士だけ。他の士業は途中で手を引かざるを得なくなります |
| 財産が多く、相続税がかかりそう | 税理士 | 申告期限は10ヶ月。分け方によって税額が変わるため、遺産分割を決める前に相談するのが有利です |
| 不動産があり、名義変更をしたい | 司法書士 | 相続登記の代理申請ができるのは司法書士と弁護士のみ。義務化により3年の期限があります |
| 財産は預貯金だけ。書類の作成と手続きを任せたい | 行政書士 | 戸籍収集・遺産分割協議書の作成・金融機関の手続きまで対応でき、費用も抑えやすい |
| 借金があるかもしれない・相続放棄を考えている | 司法書士または弁護士 | 3ヶ月の期限があり、家庭裁判所への申述が必要です |
| 元気なうちに遺言書を作っておきたい | 行政書士・司法書士・弁護士(相続税が絡むなら税理士も) | 文案作成、公証役場との調整、証人の手配まで依頼できます |
| 何から手をつければよいか分からない | ワンストップ型の相談窓口 | まず全体像を整理し、必要な専門家に振り分けてもらうのが最短です |
迷いやすいのは「揉めている」の判断です。感情的な行き違いがある程度でも、相手方に代理人がついた時点で、対応できるのは弁護士だけになります。逆に、話し合いはついていて書面にするだけ、という状態であれば、行政書士や司法書士で十分です。
銀行・信託銀行に頼む場合の特徴
銀行や信託銀行は「遺産整理業務」というサービスを提供しており、相続手続き全般の窓口になってくれます。
| メリット | 注意したい点 |
|---|---|
| 窓口が一本化され、担当者がついて進行を管理してくれる | 最低報酬が高めに設定されていることが多く、財産額に応じた料率で計算されるのが一般的です |
| 組織としての安心感がある | 登記や相続税申告は、銀行自身ではなく提携する司法書士・税理士が行います。その分の報酬が別途かかることもあります |
| 遺言信託など、生前からの一貫したサービスがある | 相続人間に争いがある場合は対応できず、弁護士へ引き継ぐことになります |
費用は金融機関ごとに大きく異なりますので、必ず見積りを取り、「どこまでが料金に含まれ、どこからが別料金か」を確認してください。相続手続きの費用相場については相続手続きの費用で解説しています。
ワンストップ型に相談するメリット
相続の手続きは、戸籍収集から遺産分割協議書の作成、相続税申告、不動産の名義変更、預貯金の解約まで、複数の専門分野をまたぎます。これを別々の事務所に頼むと、次のような負担が生じます。
- 同じ家族構成・財産内容を、事務所ごとに一から説明し直すことになる
- 戸籍や印鑑証明書を、それぞれの事務所に提出するため何通も取得することになる
- 「相続税の観点ではこう分けたほうがよい」「登記の観点ではこの書き方が必要」といった調整を、依頼者自身が行うことになる
- 各事務所の進行がバラバラになり、10ヶ月や3年といった期限の管理が難しくなる
とくに影響が大きいのが3点目です。遺産の分け方は、相続税・登記・二次相続のすべてに影響します。たとえば「自宅を誰が相続するか」という一つの判断が、小規模宅地等の特例が使えるかどうか、共有になって将来売れなくなるかどうか、次の相続で税負担がどうなるかを同時に左右します。分野をまたいで検討できる体制であれば、この判断を一度で済ませられます。
当センターの体制
株式会社 相続サポートセンターは、みらいグループの一員として、税理士法人みらいを中心に行政書士・社会保険労務士・不動産の専門家が連携する体制をとっています。相続税の試算・申告は税理士が、遺産分割協議書や各種書類の作成は行政書士が、不動産の相続登記は連携する司法書士が担当し、窓口は一つのまま最後まで進めます。
西東京市ひばりが丘北の事務所は、ひばりヶ丘駅から徒歩圏内です。西東京市(田無・保谷・ひばりヶ丘・東伏見)のほか、東久留米市・清瀬市・埼玉県新座市からもご相談をいただいています。初回相談は無料、受付は平日9:00〜18:00です。
相談前に準備しておくとよいもの
初回のご相談を有意義にするために、分かる範囲で次のものをご用意いただけると話が早く進みます。すべて揃っていなくても構いません。
| 済 | 準備するもの | 分かること |
|---|---|---|
| □ | 家族構成が分かるメモ(手書きで可) | 相続人が誰か、何人か |
| □ | 固定資産税の課税明細書(毎年春に届くもの) | 所有している不動産と評価額の目安 |
| □ | 通帳・残高が分かるもの | 預貯金の概算 |
| □ | 遺言書(ある場合。自筆のものは開封しないまま) | 分け方が指定されているか |
| □ | 借入金の契約書・請求書 | 相続放棄を検討すべきかどうか |
相続の全体像は相続手続きチェックリストと相続相談はどこにすべきかでも整理しています。
まとめ
相続の相談先は、資格ごとに法律で対応できる範囲が決まっています。相続税の申告は税理士、不動産の登記は司法書士、揉めごとの解決は弁護士、書類の作成は行政書士が中心です。遺産分割協議書の作成や戸籍収集は複数の士業が対応できるため、「不動産があるか」「相続税がかかりそうか」「揉めているか」の3点で絞り込むのが実用的です。
ただし、実際の相続では複数の分野が絡み合い、一つの判断が税額にも登記にも将来の売却可能性にも影響します。個別に依頼先を探すより、まず全体を見渡せる窓口で状況を整理し、必要な専門家に振り分けてもらうほうが、結果的に手間も費用も抑えられることが少なくありません。
▶ 「税理士に行くべきか、司法書士に行くべきか」で迷っている時間が、いちばんもったいない時間です。
まずは状況をお聞かせください。必要な手続きと期限を整理したうえで、どの専門家がどこを担当するかまでご説明します。窓口は一つのまま、最後まで進めます。
西東京市ひばりが丘の相続サポートセンターなら、戸籍収集から遺産分割・不動産名義変更・相続税申告まで、税理士・行政書士・司法書士が連携してワンストップで対応します。初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 相談だけしたい場合も費用はかかりますか?
当センターの初回相談は無料です。手続きをご依頼いただくかどうかは、ご説明を聞いたうえでご判断ください。なお、相談を受け付けているのは平日9:00〜18:00です。
Q. 行政書士に頼んだのに、途中で司法書士や税理士が必要になりませんか?
不動産の登記や相続税の申告が必要になった時点で、それぞれの資格を持つ専門家の関与が必要になります。当センターのように士業が連携する体制であれば、改めて事務所を探し直す必要はなく、そのまま引き継いで進められます。個人の事務所に依頼される場合は、提携先があるかを事前にご確認ください。
Q. 揉めていないつもりですが、弁護士に頼むべきでしょうか?
相続人全員が分け方に納得しているのであれば、弁護士に依頼する必要はありません。ただし、話し合いの過程で対立が生じ、相手方が代理人を立てた場合は、対応できるのは弁護士だけになります。当センターでは、紛争性が生じた際には弁護士をご紹介しています。
Q. 相談のタイミングはいつがよいですか?
できるだけ早い段階をおすすめします。相続放棄は3ヶ月、相続税の申告は10ヶ月、相続登記は3年と期限があり、とくに遺産の分け方は決めてしまう前に相談したほうが選択肢が広く残ります。生前であれば、遺言書の作成や生前対策という選択肢も加わります。