遺言書2026年6月22日最終更新: 2026.06.22

この記事の要点

  • 遺言書の検認は民法第1004条1項により、遺言書の保管者または発見した相続人が、相続開始を知った後遅滞なく家庭裁判所に請求する手続き
  • 検認が不要な遺言:①公正証書遺言(民法第1004条2項)、②法務局保管制度で保管された自筆証書遺言(法務局における遺言書の保管等に関する法律第11条)
  • 検認は遺言書の形式・状態の確認のみ。内容の有効性は判断しない(検認≠有効性の保証)
  • 検認前に開封した場合や、検認を経ずに執行した場合は5万円以下の過料(民法第1005条)。ただし遺言自体は無効にならない

自筆証書遺言や秘密証書遺言が見つかった場合、相続人はすぐに開封してはいけません。家庭裁判所での「検認」という手続きを経る必要があります。検認は遺言書の偽造・変造を防ぎ、その存在と内容を相続人に明確にするための重要な手続きです。

この記事では、遺言書の検認の意義、必要なケース・不要なケース、申立ての流れ、必要書類、検認を怠った場合のペナルティについて、法的根拠を示しながら詳しく解説します。

遺言書の検認とは

遺言書の検認とは、民法第1004条1項に基づき、家庭裁判所が遺言書の存在および形状・加除訂正の状態・日付・署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。

条文上は「遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない」「遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする」と定められています。

検認の目的(証拠保全)

検認の主な目的は、遺言書の現状を確定し、後日の偽造・変造を防ぐ「証拠保全」にあります。検認は遺言の有効性を判断する手続きではない点に注意が必要です。検認を経た遺言でも、無効を主張することは可能です。

検認が必要な遺言・不要な遺言

検認が必要な遺言

  • 自筆証書遺言(法務局保管制度を利用していないもの)
  • 秘密証書遺言

検認が不要な遺言

  • 公正証書遺言:民法第1004条2項により、公証人が関与し原本が公証役場に保管されるため検認不要
  • 法務局保管制度を利用した自筆証書遺言:法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)第11条により、検認の規定(民法第1004条1項)は適用されない

2020年7月10日に施行された法務局保管制度を利用すれば、自筆証書遺言であっても検認が不要となります。なお、保管制度の詳細は法務省「自筆証書遺言書保管制度」のページでも案内されています。

検認の手続きの流れ

ステップ1:申立先の確認

検認の申立先は、遺言者(被相続人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。相続人の住所地ではない点に注意してください。

ステップ2:必要書類の収集と申立て

申立書、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本などを揃え、家庭裁判所に申し立てます。

ステップ3:検認期日の通知

申立て後、家庭裁判所から相続人全員に「検認期日」が通知されます。申立てから期日まで通常1ヶ月程度かかります。

ステップ4:検認期日への出席

検認期日に、家庭裁判所で裁判官が遺言書を開封し、出席した相続人の前で形状・日付・署名などを確認します。相続人全員の出席は必須ではなく、申立人だけ出席すれば手続きは進められます。

ステップ5:検認済証明書の交付申請

検認終了後、遺言書を不動産登記や預金解約に使用するためには「検認済証明書」が必要です。家庭裁判所に申請して交付を受けます(収入印紙150円)。

必要書類

遺言書の検認申立てには、以下の書類が必要です。

  • 検認申立書
  • 遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍・改製原戸籍を含む)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺言者の住民票の除票または戸籍の附票
  • 遺言書(封筒があれば封筒も)※封がされている場合は開封せずに提出
  • 収入印紙800円(遺言書1通につき)
  • 連絡用の郵便切手(裁判所により異なる)

遺言者に子がいない場合(兄弟姉妹が相続人)や、代襲相続が発生している場合は、追加の戸籍が必要になります。

検認にかかる期間

申立てから検認期日までは通常1〜2ヶ月程度です。検認済証明書の交付までを含めると、全体で2ヶ月前後を見込んでおくと良いでしょう。

戸籍の収集に時間がかかるケースも多く、検認まで全体で3ヶ月以上かかることもあります。預金解約や不動産登記が急がれる場合は、早めに着手することが重要です。

検認前の開封と過料(民法第1005条)

民法第1005条は、「家庭裁判所外においてその開封をした者」または「遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者」は、5万円以下の過料に処すると定めています。

ただし重要なのは、開封してしまっても遺言自体が無効になるわけではないという点です。検認前に誤って開封した場合でも、その遺言書を持参して家庭裁判所で検認を受けることができます。

過料を回避するためのポイント

  • 封がされた遺言書を発見したら絶対に開封しない
  • すぐに家庭裁判所に検認を申し立てる
  • 遺言書の保管者は相続開始を知ったら遅滞なく行動する

検認後の手続き

検認済証明書が交付されたら、遺言書に基づいて次のような相続手続きを進めます。

  • 不動産の相続登記(法務局)
  • 預貯金の解約・名義変更(金融機関)
  • 有価証券の名義変更(証券会社)
  • 自動車の名義変更
  • 遺言執行者の選任・就職通知

遺言書に遺言執行者の指定がある場合は、執行者が中心となって手続きを進めます。指定がない場合は、相続人全員で手続きを行うか、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることもできます。

検認の注意点

検認は有効性を保証しない

検認は遺言書の現状を確認・保全する手続きであって、遺言の内容や有効性を判断するものではありません。検認を経た遺言であっても、後日「自筆性が認められない」「遺言能力がなかった」などの理由で無効と判断される可能性があります。

相続人への通知

検認期日が決まると、家庭裁判所から相続人全員に通知が届きます。出席するかは任意ですが、検認の事実を知らないままに手続きが進んでしまうことはありません。

検認しないと使えない

検認を経ていない自筆証書遺言・秘密証書遺言は、金融機関や法務局での手続きに使えません。遺言の内容を実現するためには、検認は事実上必須の手続きです。

当センターの実績

西東京市での事例 西東京市にお住まいだったお客様で、遺品整理中に封のされた自筆証書遺言を発見されたケースをご支援しました。誤って開封してしまわないよう保管方法をご案内し、戸籍収集から家庭裁判所への検認申立て、検認済証明書の取得、その後の相続登記まで一貫してサポートいたしました。発見から相続登記完了まで約3ヶ月で完了しています。

まとめ

遺言書の検認は、自筆証書遺言・秘密証書遺言を見つけた相続人が必ず行うべき手続きです。公正証書遺言と法務局保管制度を利用した自筆証書遺言は検認不要ですが、それ以外の遺言は家庭裁判所での検認なしには相続手続きを進められません。

検認前の開封は5万円以下の過料の対象となりますが、遺言自体は無効になりません。発見後はすぐに家庭裁判所への申立て準備を始めましょう。

当センターでは戸籍収集から検認申立て、検認後の相続登記までワンストップでサポートいたします。無料相談をぜひご利用ください。遺言書の作成方法当センターのサービス内容もあわせてご確認ください。

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※免責事項:本記事は2026年6月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。具体的なご相談は、専門家にお問い合わせください。

この記事の監修

株式会社 相続サポートセンター(みらいグループ)

税理士法人みらいを中心に、行政書士・社労士・不動産の専門家が連携。西東京市を拠点に、相続手続き・遺言書作成のワンストップサポートを提供しています。

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