要 この記事の要点
- 自筆証書遺言は費用が安く、自分で作成すれば費用はかからない。法務局の保管制度を利用しても1通3,900円(法務局における遺言書の保管等に関する法律)
- 公正証書遺言は公証人手数料がかかり、手数料は目的財産の価額に応じて決まる(公証人手数料令第9条)
- 専門家に文案作成や証人を依頼する場合は別途報酬が発生する(相場は事務所により異なる)
- 費用の安さよりも「無効にならない・トラブルにならない」ことが遺言書作成では重要
遺言書を作成しようと考えたとき、多くの方が気にされるのが「費用はいくらかかるのか」という点です。遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があり、それぞれ費用の仕組みが大きく異なります。
この記事では、西東京市を拠点とする相続サポートセンターが、自筆証書遺言と公正証書遺言の費用を具体的に比較し、専門家に依頼する場合の報酬相場や、どちらを選ぶべきかの判断ポイントまで詳しく解説します。
遺言書作成の費用の全体像
遺言書作成にかかる費用は、大きく次の要素に分けられます。
- 遺言書の方式そのものにかかる費用(自筆証書遺言の保管手数料、公正証書遺言の公証人手数料)
- 証人の手配費用(公正証書遺言の場合に必要)
- 専門家への報酬(文案作成・証人・手続き代行を依頼する場合)
それぞれの方式で費用の内訳が異なるため、順に見ていきましょう。なお、以下に記載する金額は制度上の手数料を除き、あくまで一般的な「目安」「相場」であり、実際の費用は事務所や個別の事情によって変動します。
自筆証書遺言の費用
自筆証書遺言は、遺言者が自分で全文(財産目録を除く)・日付・氏名を手書きし、押印して作成する遺言書です(民法第968条)。作成そのものに費用はかからず、紙とペン、印鑑があれば作成できます。
自分で作成する場合|費用は0円
自筆証書遺言を自分で作成し、自宅などで保管する場合、費用は基本的にかかりません。ただし、紛失・改ざん・発見されないリスクや、家庭裁判所での「検認」(民法第1004条)が必要になる点に注意が必要です。
法務局の保管制度を利用する場合|1通3,900円
2020年7月10日に始まった「自筆証書遺言書保管制度」を利用すると、法務局(遺言書保管所)で遺言書を保管してもらえます。この制度は「法務局における遺言書の保管等に関する法律」に基づくもので、保管の申請には1通につき3,900円の手数料がかかります。
この制度を利用すると、家庭裁判所での検認が不要になるほか、紛失や改ざんのリスクを防げるというメリットがあります。制度の詳細は法務省「自筆証書遺言書保管制度」のページでも確認できます。
公正証書遺言の費用
公正証書遺言は、公証人が遺言者の口述をもとに作成する遺言書で、証人2名の立会いが必要です(民法第969条)。原本は公証役場で保管されるため、紛失・改ざんの心配がなく、検認も不要です。
公証人手数料の仕組み
公正証書遺言の作成には、公証人に支払う手数料がかかります。この手数料は「公証人手数料令」で定められており、遺言の目的となる財産の価額(目的価額)に応じて算定されます(公証人手数料令第9条・別表)。
目的価額ごとの手数料は、目安として次のとおりです。
- 100万円まで:5,000円
- 100万円を超え200万円まで:7,000円
- 200万円を超え500万円まで:11,000円
- 500万円を超え1,000万円まで:17,000円
- 1,000万円を超え3,000万円まで:23,000円
- 3,000万円を超え5,000万円まで:29,000円
- 5,000万円を超え1億円まで:43,000円
手数料は、原則として「財産をもらう人ごと」に価額を計算し、それぞれの手数料を合算します。さらに、遺言の目的価額の合計が1億円までの場合は、上記の合算額に11,000円が加算されます(遺言加算)。
財産額別の費用の目安
例えば、財産総額が3,000万円で、これを1人に相続させる遺言の場合、基本手数料23,000円に遺言加算11,000円を加えた34,000円程度が目安となります。財産を複数人に分ける場合や、財産の内容によって金額は変わります。正確な金額は最寄りの公証役場にご確認ください。
証人2名の手配費用
公正証書遺言では、証人2名の立会いが必要です(民法第969条第1号)。推定相続人や受遺者、その配偶者・直系血族などは証人になれません(民法第974条)。
身近に適任者がいない場合は、公証役場や専門家に証人の手配を依頼できます。証人1名あたり数千円〜1万円程度が相場ですが、事務所によって異なります。
専門家への文案作成報酬の相場
遺言書は、書き方を誤ると無効になったり、かえって相続トラブルの原因になったりすることがあります。そのため、行政書士・弁護士・司法書士などの専門家に文案作成やサポートを依頼するケースが多くあります。
専門家に依頼する場合の報酬は、事務所や財産の規模、内容の複雑さによって幅がありますが、一般的な相場の目安は次のとおりです。
- 自筆証書遺言の文案作成サポート:数万円〜10万円程度
- 公正証書遺言の文案作成・公証役場との調整:10万円〜20万円程度
これらはあくまで相場であり、確定した金額ではありません。依頼前に必ず見積もりを確認しましょう。
どちらを選ぶべきか
費用だけを見れば自筆証書遺言のほうが安く済みますが、遺言書は「確実に効力を発揮すること」が最も重要です。
- 費用を抑えたい・財産がシンプル:自筆証書遺言(法務局保管制度の利用がおすすめ)
- 確実性を重視したい・財産が多い・相続人間で争いが予想される:公正証書遺言
費用をかけても公正証書遺言が安心なケース
次のような場合は、多少費用がかかっても公正証書遺言をおすすめします。
- 相続人同士の関係が良好でなく、争いが予想される場合
- 不動産や事業用資産など、財産の内容が複雑な場合
- 遺言者が高齢で、後日「遺言能力」が争われる可能性がある場合
- 確実に検認手続きを避けたい場合
当センターの遺言サポート
当センターでは、税理士・行政書士・不動産の専門家が連携し、お客様の状況に合わせて最適な遺言書の方式をご提案しています。文案の作成から公証役場との調整、証人の手配までワンストップでサポートいたします。
よくある質問
Q. 自筆証書遺言と公正証書遺言、費用はどれくらい違いますか?
A. 自筆証書遺言は自分で作成すれば費用0円、法務局の保管制度を利用しても1通3,900円です。一方、公正証書遺言は公証人手数料が財産額に応じてかかり、証人手配費用や専門家報酬を含めると数万円〜数十万円になることが一般的です。ただし公正証書遺言は確実性が高く、検認も不要というメリットがあります。
Q. 公証人手数料はどのように決まりますか?
A. 公証人手数料令第9条・別表に基づき、遺言の目的となる財産の価額に応じて決まります。財産をもらう人ごとに手数料を計算して合算し、目的価額の合計が1億円までの場合はさらに11,000円が加算されます(遺言加算)。正確な金額は公証役場にご確認ください。
Q. 遺言書作成を専門家に頼むといくらかかりますか?
A. 事務所や財産の規模により異なりますが、自筆証書遺言のサポートで数万円〜10万円程度、公正証書遺言の文案作成・調整で10万円〜20万円程度が一般的な相場の目安です。これはあくまで目安であり、事前に見積もりを確認することをおすすめします。
Q. 費用の安い自筆証書遺言でも問題ありませんか?
A. 財産がシンプルで相続人間の争いが予想されない場合は、自筆証書遺言でも十分な場合があります。ただし書き方を誤ると無効になるリスクがあるため、法務局の保管制度の利用や、専門家によるチェックをおすすめします。争いが予想される場合や財産が複雑な場合は公正証書遺言が安心です。
まとめ
遺言書作成の費用は方式によって大きく異なります。費用の安さだけで選ぶのではなく、「確実に効力を発揮するか」「相続トラブルを防げるか」という観点で選ぶことが大切です。
遺言書の作成を検討されている方は、ぜひ無料相談をご利用ください。遺言書の作り方や公正証書遺言についてもあわせてご確認ください。