手続き2026年9月27日最終更新: 2026.09.27

要 この記事の要点

  • 遺産分割協議書の作成に資格は不要。書式・用紙・作成方法にも法律上の決まりはありません
  • 自分で作る場合の実費は証明書の取得費用が中心。戸籍450円・除籍750円・登記事項証明書600円などが目安です
  • 費用より重いのは戸籍収集にかかる時間。2024年3月からの広域交付制度で負担は軽くなりました
  • 相続人に未成年者・行方不明者がいる、数次相続、相続税申告が必要といったケースは専門家に相談したほうが早く確実です

「遺産分割協議書は自分で作れますか」というご質問を、西東京市・東久留米市・清瀬市・新座市のお客様からよくいただきます。結論から言えば、作れます。資格は必要ありませんし、書式にも決まりはありません。

ただし「作れる」ことと「手続きに通る」ことは別です。法務局や金融機関で受け付けてもらえなければ、せっかく全員で押印した書面が無駄になります。この記事では、自分で作る場合の具体的な手順と実費の内訳を示したうえで、ご自身で進められるケースと専門家に任せたほうがよいケースの判断基準を整理します。なお、専門家に依頼した場合の報酬相場については遺産分割協議書の作成費用で比較していますので、あわせてご覧ください。

自分で作るための5ステップ

遺産分割協議書は、いきなり文案を書き始めるものではありません。前提となる調査を終えてから作成します。順序を間違えると作り直しになります。

ステップ1|相続人を確定する

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍・除籍・改製原戸籍をすべて集め、法定相続人が誰であるかを確定します。ここを飛ばして「相続人は自分と弟の2人のはず」と思い込んで進めると、前婚の子や認知された子が後から出てきて、協議自体が無効になります。

被相続人が転籍や婚姻で本籍地を何度も変えている場合、戸籍を遡って辿る作業が必要です。ただし2024年3月1日から戸籍の広域交付制度(戸籍法第120条の2)が始まり、本籍地が遠方でも最寄りの市区町村の窓口でまとめて請求できるようになりました。この制度で負担は大きく軽くなっています。制度の詳細と注意点は後述します。集め方の実務は戸籍の集め方で解説しています。

ステップ2|財産を漏れなく洗い出す

財産の記載漏れは、協議書の作り直しにつながる最大の原因です。次の資料をもとに、財産目録を作りましょう。

  • 不動産:固定資産税の納税通知書、名寄帳(市区町村で取得)、登記事項証明書。私道の持分や未登記建物が漏れやすいので、名寄帳で全筆を確認します
  • 預貯金:通帳、キャッシュカード、金融機関からの郵便物。残高証明書を取り寄せると口座の特定が確実になります
  • 有価証券:証券会社からの取引報告書、電子交付のお知らせメール
  • 生命保険:保険証券。受取人が指定されていれば受取人固有の財産となり、原則として遺産分割の対象外です
  • 負債:金銭消費貸借契約書、カードの利用明細、信用情報機関への照会

ステップ3|分け方を話し合い、文案を作る

相続人全員で分け方を決め、書面にまとめます。作成上のポイントは3つです。

  • 不動産は登記事項証明書のとおりに書く:住居表示(郵便物が届く住所)ではなく、所在・地番・地目・地積、建物は所在・家屋番号・種類・構造・床面積を記載します
  • 預貯金は口座を特定する:金融機関名、支店名、預金種別、口座番号まで書きます
  • 後日発見された財産の条項を入れる:「本協議書に記載のない財産が後日発見された場合は、○○が取得する」または「相続人全員で改めて協議する」といった条項です。これがないと、財産が1つ見つかるたびに全員で協議をやり直すことになります

具体的な文例は遺産分割協議書のひな形で、ケース別に掲載しています。

ステップ4|署名・押印し、印鑑証明書を添付する

相続人全員が署名し、実印を押します。認印では法務局・金融機関ともに受け付けられません。あわせて相続人全員の印鑑証明書を添付します。複数枚になる場合は、ページの見開き部分に全員が実印で契印を押し、一体の書面であることを示します。

部数は、相続人の人数分を作成して各自が原本を1通ずつ保管する方法が一般的です。1通だけ作って回覧する方法もありますが、原本を持たない相続人が不安を抱きやすく、後日の紛争の火種になることがあります。

ステップ5|提出先で使う

完成した協議書は、次の手続きで使います。提出先によって求められる添付書類が異なるため、事前に確認してください。

提出先 用途 注意点
法務局相続登記(不動産の名義変更)不動産の表示が登記記録と一致していないと通りません。原本還付の手続きをすれば原本を返してもらえます
金融機関預貯金の解約・払戻し各行所定の相続届出書への記入・押印を別途求められるのが一般的です
税務署相続税の申告申告期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内。管轄は被相続人の住所地を所轄する税務署です
運輸支局自動車の名義変更査定価格が一定額以下の場合は簡易な様式で足りることがあります

西東京市・東久留米市・清瀬市の不動産であれば東京法務局田無出張所、相続税の申告は東村山税務署が管轄になります。

自分で作る場合の実費内訳

自分で作成する場合、書面そのものの作成費用はかかりません。実際に出ていくのは証明書の取得手数料と郵送費です。金額は自治体によって異なるものがあるため、幅で示しています。

書類 手数料の目安 必要な通数の考え方
戸籍謄本(現在戸籍)1通450円相続人全員分。被相続人の分も含む
除籍謄本・改製原戸籍1通750円被相続人の出生まで遡る分。転籍が多いほど通数が増えます
印鑑証明書1通200〜450円程度(自治体により異なる)相続人全員分。提出先ごとに必要なら複数通
住民票・住民票の除票・戸籍の附票1通200〜400円程度(自治体により異なる)不動産を取得する人の分と、被相続人の分
登記事項証明書書面請求600円/オンライン請求・郵送500円/オンライン請求・窓口交付480円不動産の筆数分
固定資産評価証明書1通300〜400円程度(自治体により異なる)登記申請の年度のもの
残高証明書1通数百円〜千数百円程度(金融機関により異なる)口座のある金融機関ごと
定額小為替(郵送請求用)発行手数料1枚200円郵送で戸籍を請求する場合。額面とは別に手数料がかかります

相続人が配偶者と子2人、財産が自宅と預貯金といった標準的なケースであれば、総額は数千円から1万円台に収まることが多いでしょう。ただし被相続人が何度も転籍している、相続人が多い、不動産の筆数が多いといった事情があると増えます。いずれも目安です。

実費を抑える3つの工夫

  • 広域交付制度を使う:2024年3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍をまとめて請求できるようになりました。郵送請求に伴う定額小為替の手数料や往復の郵便代を節約できます。ただし請求できるのは本人・配偶者・父母・祖父母・子・孫などに限られ、兄弟姉妹の戸籍は対象外です。代理人請求・郵送請求も対象外で、窓口で本人確認書類の提示が必要です
  • 登記事項証明書はオンライン請求する:登記情報提供サービスや、オンラインでの証明書請求を使えば、書面請求より手数料が安くなります
  • 原本還付を使う:法務局に提出した戸籍等はコピーを添えて原本還付を請求すれば返してもらえます。同じ書類を金融機関の手続きにも使い回せるため、重複取得を避けられます。法定相続情報一覧図の交付を受けておくと、複数の手続きを並行して進めやすくなります

自分で作れるケース・専門家に依頼すべきケース

費用だけで判断すると、かえって遠回りになることがあります。次のチェックリストで確かめてください。

状況 判断 理由
相続人が配偶者と子だけ、全員が合意済み自分で作れる可能性が高い戸籍を辿る範囲が限られ、争いもないため
財産が自宅と預貯金のみ自分で作れる可能性が高い記載すべき財産が少なく、漏れが生じにくい
相続人に未成年者がいる専門家に相談親権者と利益相反になる場合、家庭裁判所に特別代理人の選任申立てが必要
相続人に判断能力が十分でない方がいる専門家に相談成年後見人等の選任がないと有効な協議ができない場合がある
行方の分からない相続人がいる専門家に相談戸籍の附票による所在調査や、不在者財産管理人の選任が必要になることがある
前婚の子・認知された子がいる専門家に相談連絡の取り方や進め方に配慮が要り、対応を誤ると協議が難航する
名義が祖父のまま(数次相続)専門家に相談相続人が多数になり、戸籍収集と登記の組み立てが複雑になる
相続税の申告が必要そう専門家に相談小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、分け方によって税額が変わる

分け方によって税額が変わる点に注意

見落とされやすいのが、最後の項目です。相続税がかかる規模の財産がある場合、誰がどの財産を取得するかによって納税額が変わります。小規模宅地等の特例は取得者の要件がありますし、配偶者の税額軽減をどこまで使うかは、二次相続まで含めて考える必要があります。協議書を作ってから税理士に相談し、「この分け方だと税額が高くなる」と分かって作り直す、というのは避けたい展開です。相続税の基礎については相続税の基礎知識をご覧ください。

依頼する場合の選び方と当センターの料金

依頼先は、相続財産の中身によって選ぶのが基本です。不動産があるなら司法書士、相続税の申告が必要なら税理士、それ以外なら行政書士というのが一つの目安になります。複数の要素が絡む場合は、各専門家が連携するワンストップの窓口に相談すると、依頼先探しの手間を省けます。依頼先ごとの報酬相場の比較は遺産分割協議書の作成費用にまとめています。

当センターの遺産整理業務の料金は、公式料金表のとおり遺産総額の0.6%(最低600,000円・税別)です。戸籍収集、相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更、金融機関の手続きまでを一括してお引き受けする業務の料金です。ご依頼の範囲によって進め方は変わりますので、まずは初回無料相談で状況をお聞かせください。

まとめ

遺産分割協議書は、資格がなくてもご自身で作成できます。実費は証明書の取得費用が中心で、標準的なケースなら数千円から1万円台が目安です。2024年3月からの戸籍の広域交付制度により、戸籍収集の負担もかなり軽くなりました。

一方で、相続人に未成年者や判断能力が十分でない方がいる、行方不明の相続人がいる、名義が祖父のままになっている、相続税の申告が必要になりそうといったケースでは、協議書の作成以前に別の手続きが必要になります。こうした場合は、最初から専門家に相談したほうが、時間も費用も結果的に抑えられます。

ご自身で作れるかどうか、その判断だけでも無料相談で承っています。「自分で進めてみたいが、この点だけ確認したい」というご相談も歓迎です。西東京市ひばりが丘の事務所で、平日9:00〜18:00にお待ちしています。

▶ 遺産分割協議書、ご自身で作れるかどうか迷っていませんか?

相続人の構成や財産の中身をうかがえば、自分で進められるか、専門家に任せたほうがよいかをその場でご案内します。作成のみのご依頼から、戸籍収集・名義変更・申告まで含むご依頼まで対応します。

西東京市ひばりが丘の相続サポートセンターなら、戸籍収集から遺産分割・不動産名義変更・相続税申告まで、税理士・行政書士・司法書士が連携してワンストップで対応します。初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。

よくある質問

Q1. 遺産分割協議書は自分で作っても法的に有効ですか?

有効です。作成に資格は必要なく、書式や用紙にも法律上の決まりはありません。パソコンでも手書きでも構いません。ただし、相続人全員が参加していること、全員が署名し実印を押していること、印鑑証明書を添付すること、財産の表示が正確であることを満たさないと、法務局や金融機関で受け付けてもらえません。有効かどうかと手続きに使えるかどうかは別の問題です。

Q2. 自分で作る場合、実費はいくらくらいかかりますか?

戸籍謄本は1通450円、除籍謄本・改製原戸籍は1通750円です。印鑑証明書・住民票は自治体により異なり1通200円から450円程度が目安です。不動産があれば登記事項証明書が書面請求で600円、固定資産評価証明書が300円から400円程度かかります。郵送請求では定額小為替の発行手数料が1枚200円必要です。標準的なケースで数千円から1万円台が目安ですが、相続人の人数や本籍地の移動回数により変わります。

Q3. どんな場合は専門家に依頼したほうがよいですか?

相続人に未成年者や判断能力が十分でない方がいる場合、行方が分からない相続人がいる場合、連絡を取ったことのない相続人がいる場合は、協議書の作成以前に代理人の選任や所在調査が必要になります。不動産の筆数が多い、名義が祖父のままで数次相続になっている、相続税の申告が必要そうといったケースも同様です。相続人が配偶者と子だけで財産も自宅と預貯金程度であれば、ご自身で進められる可能性は十分にあります。

Q4. 戸籍は全国どこの窓口でも取れるようになったと聞きましたが本当ですか?

2024年3月1日から戸籍の広域交付制度が始まり、本籍地が遠方でも最寄りの市区町村の窓口でまとめて請求できるようになりました(戸籍法第120条の2)。ただし請求できるのは本人・配偶者・父母・祖父母・子・孫などに限られ、兄弟姉妹の戸籍は対象外です。代理人請求や郵送請求も対象外で、窓口での本人確認書類の提示が必要です。コンピュータ化されていない一部の古い戸籍も対象外となります。

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※免責事項:本記事は2026年9月時点の情報です。法令・通達等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。制度の内容は変更される場合があります。記載の費用・手数料・期間はいずれも目安であり、自治体・金融機関により異なります。具体的なご相談は、専門家にお問い合わせください。

監

この記事の監修

株式会社 相続サポートセンター(みらいグループ)

税理士法人みらいを中心に、行政書士・社労士・不動産の専門家が連携。西東京市を拠点に、相続手続き・遺言書作成のワンストップサポートを提供しています。

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