不動産2026年8月23日最終更新: 2026.08.23

この記事の要点

  • 被相続人が共有持分を持っていた場合、遺産分割協議書には不動産の表示に続けて「持分2分の1」のように持分を明記する
  • 相続を機に新たに共有にすると、売却に共有者全員の同意が必要(民法第251条)となり、数次相続で権利者が増え続ける
  • 共有を避ける方法は、現物分割・代償分割・換価分割・単独相続の4つ
  • すでに共有になっている場合は共有物分割協議(民法第256条・第258条)、連絡が取れない共有者がいる場合は2023年施行の所在等不明共有者の持分取得制度(民法第262条の2)を検討する

「亡くなった父が、叔父と2分の1ずつ共有していた土地がある」「とりあえず兄弟3人の共有名義にしておこうと思う」。相続の現場では、共有持分をめぐるご相談が少なくありません。共有は一見すると公平な分け方に見えますが、実際には売ることも建て替えることもできない「動かせない財産」になりやすく、次の世代に問題を先送りしてしまう典型例でもあります。

この記事では、共有持分を相続したときの遺産分割協議書の書き方と相続登記の考え方を整理したうえで、共有を避ける方法、すでに共有になってしまった不動産の解消方法までを解説します。

被相続人が共有持分を持っていた場合の書き方

被相続人が不動産の全部ではなく持分だけを所有していた場合、遺産分割協議書には「不動産の表示」と「被相続人の持分」の両方を記載します。持分を書き漏らすと、法務局で相続登記が受け付けられません。

持分の記載例

1.相続人 相続 一郎 は、次の不動産に係る被相続人の持分を取得する。

 (土地)
  所 在 西東京市ひばりが丘北三丁目
  地 番 四番一
  地 目 宅地
  地 積 一二三・四五平方メートル
  持 分 二分の一(被相続人 相続 太郎 の持分)

持分の書き方には次の3つのポイントがあります。

  • 「2分の1」と分数で書く:登記事項証明書の権利部(甲区)に「持分2分の1」と記載されているとおりに書き写します。「50%」「半分」という書き方はしません。
  • 被相続人の持分であることを明示する:不動産全体ではなく、あくまで被相続人が有していた持分が相続の対象です。
  • 共有者は協議に参加しない:叔父などの他の共有者は相続人ではないため、遺産分割協議に加わる必要はありません。協議するのは相続人だけです。

持分をさらに分けて相続する場合

被相続人の持分2分の1を、子2人で分け合うこともできます。この場合、それぞれの取得割合は不動産全体に対する割合で表記します。

1.次の不動産に係る被相続人の持分二分の一については、
  相続人 相続 一郎 が持分四分の一を、
  相続人 相続 二郎 が持分四分の一を、それぞれ取得する。

 (土地)
  所 在 西東京市ひばりが丘北三丁目
  地 番 四番一
  地 目 宅地
  地 積 一二三・四五平方メートル

被相続人の持分2分の1を子2人で均等に分けると、全体に対しては各4分の1になります。「2分の1の2分の1」ではなく「4分の1」と書く点にご注意ください。この登記が完了すると、叔父2分の1・一郎4分の1・二郎4分の1の3人共有になります。

相続登記の登録免許税

持分を相続した場合の登録免許税は、不動産全体の固定資産税評価額に持分割合を掛けた金額の0.4%です。たとえば評価額3,000万円の土地の持分2分の1であれば、課税価格は1,500万円、登録免許税は6万円となります。必要書類は通常の相続登記と同じです。相続登記の必要書類一覧をご確認ください。

相続で新たに共有にすることのリスク

遺産分割の話し合いがまとまらないとき、「とりあえず法定相続分どおり共有にしておこう」という結論になりがちです。しかし、共有には次のようなリスクがあります。

1. 売却には共有者全員の同意が必要

民法第251条第1項により、共有物に変更を加えるには他の共有者全員の同意が必要です。不動産の売却は共有物全体の処分にあたるため、共有者が1人でも反対すれば売れません。建て替えや大規模な改築も同様です。

行為の種類 具体例 必要な同意
保存行為雨漏りの修繕、不法占拠者への明渡し請求各共有者が単独でできる
管理行為賃貸借契約(一定期間内)、共有物の利用方法の決定持分価格の過半数(民法第252条)
変更・処分売却、建て替え、抵当権の設定共有者全員(民法第251条)

なお、自分の持分だけを他人に売ること自体は単独でできます。しかし、持分だけを買う一般の買主はほとんどおらず、買取業者に相場より大幅に低い価格で売却することになりがちです。しかも、見ず知らずの業者が共有者に加わることで、残された家族との関係がさらに複雑になります。

2. 数次相続で権利者がねずみ算式に増える

共有のまま放置すると、共有者が亡くなるたびにその相続人へ持分が承継され、権利者が増えていきます。兄弟3人の共有が、次の世代では6人、そのまた次では10人以上ということも珍しくありません。

権利者が増えると、全員の所在を調べ、全員から実印と印鑑証明書をもらう作業が現実的に不可能に近くなります。当センターでも、東久留米市や清瀬市の農地・宅地について「祖父の代から名義が変わっていない」というご相談を受けることがあり、戸籍をたどるだけで数か月かかるケースがあります。詳しくは数次相続とはをご確認ください。

3. 固定資産税・維持管理費でもめる

固定資産税の納税通知書は代表者1人にしか届きません。実際には共有者が持分に応じて負担すべきものですが、代表者が立て替え続けて他の共有者が払わない、という不満が生じやすくなります。管理費や修繕費についても同じです。

4. 小規模宅地等の特例の適用に影響することがある

自宅の敷地について小規模宅地等の特例(評価額を最大80%減額)を使う場合、適用を受けられるかどうかは取得者ごとに判定します。共有にしたことで、一部の相続人については要件を満たさず、減額が受けられないことがあります。小規模宅地等の特例もあわせてご確認ください。

共有を避ける4つの方法

不動産を共有にしないための分け方は、大きく4つあります。

方法 内容 向いているケース/注意点
現物分割土地を分筆して、それぞれが単独で取得する敷地が広く、分けても使える場合。分筆には測量・登記費用がかかり、接道条件を満たさない土地が生じないよう注意が必要
代償分割1人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う自宅に住み続ける人がいる場合。取得者に支払い原資が必要。協議書に代償である旨の明記が必須
換価分割売却して代金を分ける誰も住む予定がない場合。売却益に譲渡所得税がかかる。相続開始から3年以内なら空き家の3,000万円特別控除を検討できる
単独相続1人が不動産を取得し、他の相続人は預貯金など他の財産を取得する不動産以外の財産が十分にある場合。もっともシンプルで後々の手続きが楽

実務上は、預貯金や生命保険金と組み合わせて調整することで、共有を回避できるケースが多くあります。生命保険金は受取人固有の財産となり、原則として遺産分割の対象外となるため、代償金の原資として活用されることもあります。生命保険金と相続もご参照ください。

それでも共有にせざるを得ない場合

どうしても共有にする場合は、次の点を事前に取り決めておくと将来のトラブルを減らせます。

  • 固定資産税・修繕費を誰がどの割合で負担するか
  • 誰が居住・使用するか、使用料を支払うか
  • 将来売却するときの手順と、持分を売るときは他の共有者に優先的に声をかけること
  • 共有者が亡くなったときの取り扱い(遺言書の作成をあわせて検討する)

すでに共有になっている不動産を解消する方法

1. 共有物分割協議(話し合いで解決する)

民法第256条により、各共有者はいつでも共有物の分割を請求できます(5年以内の期間を定めた不分割の特約がある場合を除きます)。共有者全員で話し合い、次のいずれかの方法で解消します。

  • 共有者の1人が他の共有者の持分を買い取る(持分の売買・贈与)
  • 不動産全体を第三者に売却し、代金を持分に応じて分ける
  • 土地を分筆して、それぞれの単独所有にする

持分を買い取る場合、時価より著しく低い価格で譲り受けると、差額に贈与税が課される可能性があります。価格の設定には注意が必要です。

2. 共有物分割請求訴訟(民法第258条)

話し合いがまとまらない場合は、裁判所に共有物分割を請求できます。裁判所は現物分割、賠償分割(持分の取得と価格賠償)、競売による分割のいずれかを命じます。ただし、時間と費用がかかるうえ、競売になれば市場価格を大きく下回る金額でしか回収できないこともあります。

なお、相続によって生じた共有(遺産共有)については、原則として遺産分割の手続きで解決します。もっとも、相続開始から10年を経過した場合には、民法第258条の2の規定により、共有物分割訴訟の中で遺産共有持分もあわせて分割できる場合があります。

3. 所在等不明共有者の持分取得制度(民法第262条の2)

2023年4月1日に施行された改正民法により、所在や氏名が分からない共有者がいる場合でも、裁判所の決定を得て、その共有者の持分を他の共有者が取得できる制度が新設されました。

制度 できること
所在等不明共有者の持分の取得
(民法第262条の2)
裁判所の決定により、所在不明の共有者の持分を他の共有者が取得できる。取得する側は、時価相当額の金銭を法務局に供託します。
所在等不明共有者の持分の譲渡権限の付与
(民法第262条の3)
裁判所の決定により、所在不明の共有者の持分を含めて不動産全体を第三者に売却できる。
所有者不明土地・建物管理制度
(民法第264条の2以下)
裁判所が管理人を選任し、その土地・建物を管理・処分できるようにする。

いずれも地方裁判所への申立てが必要で、所在不明であることの調査・疎明や供託金の準備など、相応の準備を要します。ただし、これまで「連絡が取れない共有者がいるから何もできない」と諦められていた案件に、解決の道筋ができたことは大きな変化です。なお、相続開始から10年を経過していない遺産共有持分については、この制度を利用できない場合があります。

まとめ

被相続人が共有持分を持っていた場合、遺産分割協議書には登記事項証明書のとおりに不動産を表示したうえで「持分2分の1」のように持分を明記します。一方、相続を機に新たに共有にすることは、できる限り避けるべきです。売却には共有者全員の同意が必要で、数次相続で権利者が増えると身動きが取れなくなります。

共有を避ける方法は、現物分割・代償分割・換価分割・単独相続の4つ。預貯金や生命保険金と組み合わせれば、共有にせずに済むケースは少なくありません。すでに共有になっている場合も、共有物分割協議や2023年施行の新制度で解消できる可能性があります。

「とりあえず共有にしておこう」という結論に、少しでも迷いがあるなら、その前にご相談ください。

共有持分の相続登記から、共有を避ける分け方の設計、すでに共有になっている不動産の解消まで、税理士・行政書士・司法書士が連携して検討します。

西東京市ひばりが丘の相続サポートセンターなら、戸籍収集から遺産分割・不動産名義変更・相続税申告まで、税理士・行政書士・司法書士が連携してワンストップで対応します。初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。

よくある質問

Q. 被相続人の持分だけを相続登記することはできますか?

はい、できます。相続の対象は被相続人が有していた持分だけなので、その持分について相続登記を行います。他の共有者の持分には影響しないため、他の共有者の同意や協力は不要です。

Q. 共有者の1人が行方不明でも、自分の持分だけ相続登記できますか?

相続登記は被相続人の持分について行うものなので、他の共有者が行方不明でも申請できます。ただし、相続人の中に行方不明の方がいる場合は、遺産分割協議ができないため、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てるなどの対応が必要です。相続人が行方不明の場合をご確認ください。

Q. 共有名義の不動産にも相続登記の義務はかかりますか?

はい。2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産(持分を含む)を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記を申請する必要があります。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。義務化の施行前に発生した相続についても、2027年3月31日までの猶予期間が設けられています。

Q. 共有持分を放棄することはできますか?

民法第255条により、共有者の1人が持分を放棄したときは、その持分は他の共有者に帰属します。ただし、実際に登記名義を移すには、他の共有者と共同で持分移転登記を申請する必要があります。また、無償で持分を得た他の共有者には贈与税が課される可能性があるため、事前に税務面の確認をおすすめします。

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※免責事項:本記事は2026年8月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。記載例はあくまで一例であり、実際の作成にあたっては個別の事情に応じた検討が必要です。具体的なご相談は、専門家にお問い合わせください。

この記事の監修

株式会社 相続サポートセンター(みらいグループ)

税理士法人みらいを中心に、行政書士・社労士・不動産の専門家が連携。西東京市を拠点に、相続手続き・遺言書作成のワンストップサポートを提供しています。

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