手続き2026年11月3日最終更新: 2026.11.03

要 この記事の要点

  • 通常貯金も定額貯金も、ゆうちょ銀行では「貯金等相続手続請求書(名義書換請求書兼支払請求書)」で、払戻しか代表相続人名義への書換えを行います
  • ゆうちょ銀行の記入要領では、国債は名義書換のみ、投資信託は移管のみの扱いです。投資信託は相続人側に投資信託口座が必要で、なければ事前に開設します
  • 2007年9月30日以前に預けた定額郵便貯金などは旧郵便貯金法が適用され、満期後20年を過ぎて催告書が送られてから2か月以内に請求しないと、原則として払戻しができなくなります
  • 個人向け国債は、保有者が亡くなった場合は通常の換金制限期間内でも相続人が中途換金できると財務省が案内しています。国債・投資信託は仮払い制度(民法第909条の2)の対象外です

ゆうちょ銀行の相続というと通常貯金の払戻しを思い浮かべがちですが、遺品を整理すると定額貯金の証書、国債の取引報告、投資信託の取引残高報告書が出てくることがよくあります。これらは同じゆうちょ銀行の財産でも、相続の方法と使う書類がそれぞれ違います。

この記事では、ゆうちょ銀行の公開している様式・記入要領、郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」)のQ&A、財務省の個人向け国債の案内をもとに、通常貯金と違う点に絞って整理します。手続き全体の流れはゆうちょ銀行の相続手続きをご覧ください。

ゆうちょの財産は商品ごとに手続きが違う?

ゆうちょ銀行の財産は、貯金・国債・投資信託で相続の方法が分かれています。貯金は払戻しか名義書換、国債は名義書換のみ、投資信託は相続人の口座への移管のみです。

財産 相続の方法 使う請求書(ゆうちょ銀行所定) 相続人側に必要なもの
通常貯金・定額貯金・定期貯金など払戻し、または代表相続人名義への書換え貯金等相続手続請求書(名義書換請求書兼支払請求書)払戻金の受取先(ゆうちょの通常貯金口座、他の金融機関の口座、または払戻証書)
国債名義書換のみ国債等相続手続請求書(名義書換請求書)(兼 相続上場株式等移管依頼書)代表相続人の通常貯金口座の記号番号を記入する欄があります
投資信託相続人の投資信託口座への移管のみ投資信託相続手続請求書(移管請求書)(兼 相続上場株式等移管依頼書)相続人名義の投資信託口座(なければ事前に開設)
民営化前の定額・定期郵便貯金など払戻し(郵政管理・支援機構が管理)ゆうちょ銀行・郵便局の窓口で案内される様式満期からの経過年数の確認

どの財産があるかは、最初に出す「相続確認表」の3枚目(相続貯金等記入票)で伝えます。投資信託の有無を「あり・なし・不明」で選ぶ欄があり、記号番号が分からない貯金がある場合は裏面の貯金等照会書で調査を頼めます。相続確認表の書き方は、ゆうちょ銀行の公式の記入要領で確認できます。

満期前の定額貯金は解約と名義書換のどちらになる?

ゆうちょ銀行の定額貯金は、満期前でも相続手続きを進められます。請求書は「名義書換請求書兼支払請求書」なので、払い戻すか代表相続人名義に書き換えるかを選ぶ形になります。

ゆうちょ銀行の貯金等相続手続請求書は、正式名称が「名義書換請求書兼支払請求書」です。用紙には「次表の貯金等について、代表相続人の名義に書き換えまたは支払いを行ってください」とあり、貯金ごとに払戻方法を書く欄があります。相続確認表の記入要領でも、代表相続人は「払戻しをしていただくか、通帳等の名義を代表相続人様の名義に書き換えていただく」方と説明されています。

選ぶ際に押さえておきたい点は次のとおりです。

  • 定額貯金の商品性:ゆうちょ銀行の商品案内では、定額貯金は預入から6か月経過後は払戻し自由で、10年間は半年複利で利子を計算し、3年までは6か月ごとに段階的に金利が変わるとされています(金融情勢により変わらない場合もあります)。
  • 書き換えると代表相続人の名義になる:名義書換は、代表相続人の名義に変わる手続きです。遺産分割で別の相続人が取得することになっている場合は、名義と実際の取得者が食い違わないよう、協議の内容と手続きの方法を合わせておく必要があります。
  • 担保定額貯金は一緒に解約される:請求書の注記では、口座に担保定額定期貯金の預入がある場合は当該貯金も含めて解約し、通帳式の定額定期貯金や担保定額定期貯金は通帳に預け入れているすべての証書番号を解約するとされています。

どちらを選べるか、書き換えた後の預入期間や利率がどう扱われるかは、個別の貯金の状況によって異なります。「必要書類のご案内」が届いた段階で、貯金事務センターまたは窓口に確認してから請求書を書くのが確実です。なお、相続税の計算では、定期性の預貯金は亡くなった日の残高に、その日に解約した場合の利子(源泉徴収税額相当を差し引いた額)を加えて評価するのが原則です(財産評価基本通達203)。

民営化前の古い定額郵便貯金に注意すべきなのはなぜ?

2007年9月30日以前に預けた定額郵便貯金などの定期性の郵便貯金は、満期後20年間払戻しがないと催告書が送られ、その発送日から2か月以内に請求しないと権利が消滅し、原則として払い戻せなくなります。

郵政管理・支援機構の「郵便貯金の権利消滅等に関するQ&A」によると、郵政民営化前に預け入れた定額郵便貯金・定期郵便貯金・積立郵便貯金・住宅積立郵便貯金・教育積立郵便貯金等には、廃止された旧郵便貯金法第29条の規定が今も適用されます。預入期間満了日の翌日から20年間払戻し等がない場合に「権利消滅のご案内(催告書)」が送られ、その発送の日から2か月以内に払戻しの請求がなければ権利が消滅します。ゆうちょ銀行も、民営化前の定額・定期郵便貯金はすべて満期を迎えているとして、早めの払戻しを呼びかけています。

相続の場面で問題になるのは、案内が亡くなった方の古い住所に送られ、家族の目に触れないまま期限が過ぎてしまうケースです。遺品から古い証書が出てきたら、次の点を確認してください。

  • 民営化前(2007年9月30日以前)に預けた通常郵便貯金・通常貯蓄貯金は、ゆうちょ銀行に引き継がれているため、旧郵便貯金法による権利消滅の対象にはなりません。
  • 満期後に通帳・証書の再交付、印章の変更、氏名や住所の変更の届出などをしていた事実が確認できれば、20年2か月を過ぎていても支払いを受けられることがあります。
  • 権利消滅となった後でも、払戻しを請求しなかったことに真にやむを得ない事情があったと審査で認められれば、払戻しに応じるとされています。

証書が見つからない場合でも、相続確認表の裏面の貯金等照会書で「民営化前郵便貯金」と書いて調査を頼めます。古い証書は、ほかの貯金の手続きを待たずに先に窓口へ持って行くのが安全です。

国債はどう相続する?

ゆうちょ銀行で買った国債は、相続手続きでは名義書換のみの扱いです。個人向け国債は、保有者が亡くなった場合、通常は換金できない期間でも相続人が中途換金を申し込めます。

ゆうちょ銀行の国債の請求書は「国債等相続手続請求書(名義書換請求書)(兼 相続上場株式等移管依頼書)」です。国債の記号番号・銘柄(回号)・額面金額、代表相続人の税区分、代表相続人の通常貯金(特定口座)の記号番号、遺言の有無、外国に住む相続人の有無を書き、相続人全員が自署して実印を押します。用紙の文面は、相続人全員が国債とその利子を代表相続人の名義に書き換えることに同意する形になっています。

財務省の個人向け国債のQ&Aでは、通常の中途換金ができない期間であっても、保有者が亡くなった場合は相続人による中途換金が可能で、申請の際には相続人であることを証明する書類などが必要とされています。中途換金の受取額は、第3期利子支払日以降に換金する場合、額面金額と経過利子の合計から、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685を差し引いた額です(それより前に換金する場合は計算式が異なります)。具体的な手続きは取扱金融機関によって異なるため、名義書換の後に換金するのか、どの書類が要るのかは窓口で確認してください。

投資信託はどう相続する?

ゆうちょ銀行の投資信託は、亡くなった方の投資信託を相続人の投資信託口座へ移す「移管」で引き継ぎます。相続人が投資信託口座を持っていない場合は、事前に開設が必要です。

ゆうちょ銀行のよくあるご質問では、投資信託の相続は一般の貯金の相続と異なり、相続人の投資信託口座へ移し替える手続きになると説明されています。請求書は「投資信託相続手続請求書(移管請求書)(兼 相続上場株式等移管依頼書)」で、ファンド名と口数(全部)、相続人の投資信託口座の記号番号を書きます。移管後に売却するかどうかは、引き継いだ相続人が判断することになります。

税金の面では、次の点に注意が必要です。

  • 特定口座への移管:請求書には、相続人が特定口座を開設している場合に、相続上場株式等を相続人の特定口座へ移管するよう依頼する文言が入っています(租税特別措置法施行令第25条の10の2第15項)。
  • 取得費の扱い:国税庁の案内では、相続で取得した株式等の取得費は被相続人の取得費を引き継ぎます。一方、NISA口座から相続で払い出されたものは、原則として相続開始日の終値に相当する金額で取得したものとみなされます。
  • NISAの分配金:ゆうちょ銀行の案内では、NISA口座の開設者が亡くなった日以後にNISA口座で発生した分配金は課税対象となります。

移管が終わった後、亡くなった方の投資信託の取引契約を終わらせるために「投資信託総合取引解約申込書(相続手続用)」も用意されています。どの書類が必要かは、必要書類のご案内で指定されます。

残高証明書はどう取ればよい?

ゆうちょ銀行の残高証明書は、貯金等照会書(相続用)の残高証明書欄で、証明日付を亡くなった日にして請求できます。料金は1通1,100円で、投資信託は時価評価額の表示方法も選べます。

貯金等照会書には、残高証明書の発行通数、証明日付、料金を引き落とす口座の記号番号を書く欄があります。投資信託の残高証明書を希望する場合は、基準価額に基づく時価評価額か解約価額に基づく時価評価額のどちらを表示するかを選びます。どちらが必要かは相続税の評価の仕方に関わるため、申告が必要になりそうな場合は先に確認しておくと取り直しを防げます。

相続税の申告が必要かどうかは、ゆうちょ銀行以外の預貯金・不動産・有価証券なども合わせて判定します。判定の手順は相続税の申告は必要?不要?判定の手順をご覧ください。申告そのものは税理士法人みらいが担当します。

葬儀費用のために国債や投資信託を先に引き出せる?

国債や投資信託は、遺産分割前に相続人が単独で引き出せる仮払い制度の対象ではありません。民法第909条の2が対象としているのは預貯金債権だけです。

民法第909条の2は、遺産に属する「預貯金債権」について、相続開始時の残高の3分の1に法定相続分を掛けた額を各相続人が単独で払い戻せると定めています(1金融機関あたりの上限150万円は、平成30年法務省令第29号で定められています)。国債や投資信託はこの預貯金債権に当たらないため、名義書換や移管を済ませるまでは動かせません。当面の資金が必要な場合は、通常貯金や定額貯金について仮払い制度を検討します。詳しくはゆうちょ銀行の仮払い制度をご覧ください。

まとめ

ゆうちょ銀行の財産は、貯金なら払戻しか名義書換、国債は名義書換のみ、投資信託は相続人の口座への移管のみと、商品ごとに方法が違います。投資信託を引き継ぐ相続人は口座の開設が先に必要になり、国債や投資信託は仮払い制度も使えません。

とくに注意したいのは、民営化前に預けた定額郵便貯金などの古い証書です。満期後20年を過ぎると催告書の発送から2か月で権利が消滅するおそれがあるため、見つけたらほかの手続きを待たずに窓口へ相談してください。

▶ 定額貯金の証書や国債の報告書が出てきて、何から手続きすればよいか迷っていませんか?

ゆうちょ銀行の財産は、商品ごとに使う請求書も相続人側の準備も違います。何がいくらあるかの整理から、照会・残高証明の段取り、ゆうちょ銀行への書類の提出まで、当センターがお手伝いします。

西東京市ひばりが丘の相続サポートセンターが、ご相談の窓口をひとつにまとめます。戸籍の収集や金融機関の手続きは当センター、遺産分割協議書は行政書士法人みらい、相続税の申告は税理士法人みらいが担当します。初回相談は無料です。

よくある質問

Q. 定額貯金を代表相続人の名義に書き換えた場合、ほかの相続人の取り分はどうなりますか?

名義書換は、貯金の名義が代表相続人に変わる手続きで、遺産分割で誰が取得するかとは別の話です。遺産分割で複数の相続人が分けることになっている場合は、名義と実際の取得者が食い違わないよう、払戻しを選ぶか、書き換えた後の扱いを協議で決めておく必要があります。

Q. 古い郵便貯金の証書が出てきました。まだ払い戻せますか?

2007年9月30日以前に預けた定額郵便貯金などは、満期後20年間払戻しがないと催告書が送られ、発送日から2か月以内に請求しないと権利が消滅します。満期後に再交付や住所変更などの手続きをしていた場合や、真にやむを得ない事情が認められた場合は払い戻せることもあるため、早めに貯金窓口へ相談してください。

Q. 相続人が投資信託口座を持っていない場合はどうなりますか?

ゆうちょ銀行の投資信託の相続は、相続人の投資信託口座へ移管する手続きのため、口座がない場合は事前に開設が必要です。開設してから投資信託相続手続請求書(移管請求書)に口座の記号番号を書いて提出します。

Q. 個人向け国債は相続人がすぐに現金化できますか?

財務省の案内では、保有者が亡くなった場合は、通常は中途換金できない期間でも相続人が中途換金を申し込めます。申請には相続人であることを証明する書類などが必要で、手続きは金融機関ごとに異なります。受取額は、第3期利子支払日以降の換金であれば、額面と経過利子の合計から直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685を差し引いた額です(それより前の換金は計算式が異なります)。

Q. 国債や投資信託も仮払い制度で引き出せますか?

できません。民法第909条の2の払戻し制度が対象としているのは預貯金債権で、国債や投資信託は含まれません。当面の資金が必要な場合は、通常貯金や定額貯金について仮払い制度を検討してください。

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※免責事項:本記事は2026年10月時点の法令、ゆうちょ銀行の公開様式・記入要領、郵政管理・支援機構および財務省の公開情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。商品の取扱い・必要書類・料金は変更されることがあります。最新の情報はゆうちょ銀行公式サイトまたは貯金窓口でご確認いただくか、専門家にお問い合わせください。

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この記事の監修

株式会社 相続サポートセンター(みらいグループ)

税理士法人みらい・行政書士法人みらいと連携し、西東京市ひばりが丘を拠点に相続手続きのご相談窓口をひとつにまとめています。資格が必要な部分は各専門家が担当します。

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