手続き2026年9月5日最終更新: 2026.09.05

この記事の要点

  • 判断はシンプルで、その家に住み続ける人がいれば名義変更、誰も住まなくなるなら解約。まずこの二択を決めてから動きます
  • 相続の手続き(戸籍集めや遺産分割)を待つ必要はありません。公共料金の切替えは今すぐ着手できます
  • 口座凍結で引落しが止まると、督促や供給停止につながります。通帳の引落し履歴の棚卸しが最初の一歩
  • 見落としが多いのはサブスクリプションとクレジットカード決済。放置すると課金だけが続きます

ご葬儀が済んで少し落ち着かれた頃、多くのご遺族が直面するのが「故人名義のままになっている契約」の山です。電気、ガス、水道、NHK、携帯電話、インターネット、そして動画や音楽の定額サービス。数えてみると十件を超えることも珍しくありません。

これらの手続きは、遺産分割や相続税申告のように相続人全員の合意を待つ必要がありません。今日から着手できて、しかも放置すると実害が出る種類の作業です。この記事では、西東京市・東久留米市・清瀬市・新座市のお客様への対応経験をもとに、契約の種類ごとに手順を整理します。

なお、事業者ごとの受付方法や必要書類は変更されることがあります。最新の情報は各事業者の公式サイト・窓口でご確認ください。

最初に決めること――名義変更か、解約か

手続きの入口は、その契約を引き継ぐのか、終わらせるのかという一点です。ここが決まらないまま個別の電話をかけ始めると、同じ事業者に何度も連絡する羽目になります。

状況 電気・ガス・水道 携帯・通信 サブスク
配偶者や家族が住み続ける名義変更(最優先)回線は名義変更、携帯は解約が多い原則として解約
空き家になる(売却・解体の予定)当面は名義変更して維持、時期を見て解約解約解約
賃貸物件で退去する退去日に合わせて解約解約解約
施設に入っていて自宅は無人だった実態に合わせて判断解約解約

空き家になる場合、電気だけは残しておくという判断がよくあります。換気や点検、内見のたびに照明が必要になるためです。空き家の管理と処分については空き家を相続したらもあわせてご覧ください。

電気・ガス・水道

2016年に電力の小売、2017年に都市ガスの小売がそれぞれ全面自由化されました。そのため、まず契約先がどこかを検針票や請求書で確認するところから始めてください。地域の大手電力・ガス会社とは限りません。

対象 連絡先 手続きの一般的な特徴
電気契約している小売電気事業者電話またはWebで受付。お客様番号(検針票に記載)を用意。名義変更は比較的簡便な傾向
都市ガス契約しているガス小売事業者電気と同様。開栓・閉栓を伴う場合は立会いが必要になることがある
LPガス(プロパン)供給している販売店地域の販売店へ直接連絡。容器の引取りを伴うことがある
水道給水区域を所管する水道事業者多摩地域の多くの市(西東京市・東久留米市・清瀬市を含む)は東京都水道局が所管。埼玉県の新座市は市の水道担当課。所管は変更されることがあるため各自治体の公式サイトで要確認
下水道市区町村の下水道担当課水道料金と一括請求される地域が多い

必要書類は事業者によって異なりますが、一般的にはお客様番号(供給地点特定番号)、新しい契約者の氏名・連絡先、新しい引落し口座またはクレジットカードの情報があれば足りることが多く、戸籍謄本の提出まで求められないケースも少なくありません。電話一本で終わることもあります。

逆に言えば、相続手続き全体の中でもっとも早く片づけられる部類です。戸籍集めを待つ理由はありません。

NHK受信料

放送受信契約は世帯単位で結ばれています。したがって、契約者が亡くなっても同じ世帯に受信機を設置して住み続ける方がいれば、契約は続き、名義変更で対応することになります。世帯に誰もいなくなり受信機もなくなるのであれば、放送受信契約の解約(廃止)の届出を行います。

手続きはNHKの窓口・コールセンターまたはWebで受け付けられています。空き家になる場合は、受信機を撤去したのか、そのまま残っているのかによって扱いが変わりますので、実情を正確に伝えてご相談ください。

携帯電話・固定電話・インターネット

携帯電話

携帯電話の契約は、承継(名義変更)と解約のいずれかを選びます。故人の番号を家族が引き継ぐ場合は承継、使わないのであれば解約です。

論点 一般的な取扱い
受付窓口キャリアショップの店頭が中心。Webや電話では受け付けていない事業者もある
必要書類死亡の事実と続柄がわかる書類(除籍謄本、住民票の除票、死亡診断書の写しなど)と、手続きする方の本人確認書類。組み合わせは事業者により異なる
端末の分割払残債未払分は相続債務として引き継がれるのが原則。一括請求となるか分割が続くかは事業者による
解約金・違約金契約者死亡による解約の扱いは事業者ごとに異なる。窓口で確認を
キャリア決済・ポイント未精算のキャリア決済は残ることがある。ポイントは失効する扱いが多い
端末内のデータ解約すると取り出せなくなることがある。必要な写真や連絡先は先に確認を

解約を急ぎすぎると、端末に紐づいたサービスの解約情報や、写真・連絡先が取り出せなくなることがあります。解約の前に、端末の中身とアプリの契約状況を確認する手順をおすすめします。この点はデジタル遺産の相続でも詳しく取り上げています。

固定電話・インターネット回線

固定電話の加入権は財産的価値を持つ場合があり、承継の手続きが用意されています。インターネット回線は、プロバイダと回線事業者が別会社になっていることが多いため、両方に連絡が必要な点にご注意ください。レンタル機器(ルーターなど)の返却を求められるのが一般的です。

サブスクリプション・デジタルサービス

もっとも見落とされやすいのがこの分野です。請求書が郵送されず、クレジットカードやアプリ内課金で自動的に引き落とされているため、通帳を見ても事業者名がすぐには分からないことがあります。

種類 見つけ方 手続き
動画・音楽の定額サービスカード明細、スマホのホーム画面、メールの領収通知各サービスのサポート窓口へ。アカウント経由での解約が基本
アプリ内課金(スマホのストア経由)端末の「サブスクリプション」設定画面ストアの運営会社へ。端末が使える間に確認するのが確実
通販サイトの有料会員カード明細、購入履歴メール各サイトのカスタマーサービスへ連絡
新聞・雑誌・定期購読郵便物、通帳の引落し販売店・出版社へ電話
クラウドストレージ・セキュリティソフトカード明細、PCのインストール状況自動更新の停止を申し出る
SNS・メールのアカウント端末のアプリ一覧追悼アカウント化や削除の申請制度を設けている事業者がある

探し方のコツは、通帳の直近1年分とクレジットカードの明細を並べて、毎月または毎年同じ金額が引き落とされている行を洗い出すことです。年払いのサービスは12か月分を見ないと現れませんので、必ず1年単位で確認してください。

口座凍結で引き落としが止まったときの対処

金融機関が名義人の死亡を知ると口座は凍結され、引落しは不能になります(死亡による口座凍結はいつから?)。すでに止まってしまった場合は、次の順序で対応してください。

  1. 各事業者へ電話し、契約者が亡くなった旨と引落しができない事情を伝える。多くの事業者は事情を説明すれば猶予や振込用紙での支払いに応じてくれます。黙って滞納するのが最も悪い対応です。
  2. 払込用紙(コンビニ払込票)を送ってもらう。当座の未払分は、相続人の方が立て替えて支払うのが実務的です。
  3. 立て替えた分は必ず領収書を保管する。後の遺産分割協議で精算する際の根拠になります。
  4. 並行して名義変更・引落し口座変更を進める。次回以降の請求から新しい口座へ切り替わります。

ここで注意していただきたいのが、故人の口座から引き出して支払おうとしないことです。相続放棄をご検討の余地があるなら、なおさら避けるべきです。理由は凍結前に故人の預金を引き出しても大丈夫?で詳しく説明しています。当面の資金が不足する場合は、民法第909条の2の仮払い制度(預貯金の払戻し制度)という正規の手段があります。

放置するとどうなるか

放置した対象 起こりうること
電気・ガス・水道督促を経て供給停止。再開に手数料や立会いが必要になる。基本料金は使用していなくても発生し続ける
携帯電話基本料金と端末残債が積み上がる。遅延損害金が加算されることがある
サブスクリプション誰も使っていない契約に課金が続く。年払いだと気づくのが1年後になる
クレジットカード年会費が発生し続ける。カード経由のサブスクも止まらない
生命保険・損害保険の保険料契約が失効し、本来受け取れた保険金を失うおそれがある
全般未払金は相続債務として残る。相続税申告や準確定申告の際に把握漏れの原因になる

とくに保険料の失効は、金額のインパクトが大きい失敗です。契約の有無は相続財産調査の段階で必ず確認してください。故人に事業所得や不動産所得があった場合は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に準確定申告が必要になることもあります(準確定申告)。

進め方の実務――優先順位のつけ方

すべてを同時に進める必要はありません。当センターでは次の順序をおすすめしています。

  1. 棚卸し:通帳1年分とカード明細1年分を印刷し、引落しを一覧にする(半日程度が目安)
  2. 生活インフラ:住み続ける方がいる電気・ガス・水道の名義変更と引落し口座変更
  3. 金額の大きいもの:家賃・管理費・保険料
  4. 通信:携帯・インターネット。端末のデータ確認を先に
  5. 少額の継続課金:サブスク、有料会員、定期購読
  6. カード:上記の切替えが済んでから解約(先に解約すると紐づく支払いが止まって混乱します)

クレジットカードを最後に回すのがポイントです。カードを先に止めると、そのカードで決済していたサービスが軒並み未払いになり、かえって手間が増えます。相続手続き全体の順序は相続手続きチェックリストでご確認ください。

まとめ

故人名義の契約は、その家に住み続ける人がいるかどうかで名義変更か解約かを決め、相続手続きの完了を待たずに着手できます。電気・ガス・水道は電話一本で済むことも多く、最初に片づけるべき作業です。

見落としが起きやすいのは、請求書が届かないサブスクリプションとカード決済です。通帳とカード明細を1年分並べて棚卸しすれば、大半は洗い出せます。口座凍結で引落しが止まった場合は、黙って滞納せず各事業者へ事情を伝え、払込用紙での支払いに切り替えてください。そして、故人の口座から引き出して支払うことは避け、必要なら仮払い制度をご利用ください。

故人名義のままの契約が何件あるのか分からず、手が止まっていませんか?

通帳とカード明細の棚卸しから、名義変更・解約の優先順位づけ、金融機関の相続手続きまで一括してご支援します。何から手をつけるべきかの整理だけでもご相談ください。

西東京市ひばりが丘の相続サポートセンターなら、戸籍収集から遺産分割・不動産名義変更・相続税申告まで、税理士・行政書士・司法書士が連携してワンストップで対応します。初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。

よくある質問

Q. 公共料金の名義変更は、遺産分割が終わってからでないとできませんか?

いいえ、待つ必要はありません。電気・ガス・水道の契約者変更は、その住居を実際に使用する方が新たに契約する(または名義を引き継ぐ)手続きであり、遺産分割の結論とは切り離して進められます。むしろ、供給停止を避けるために最優先で着手していただきたい部分です。

Q. 手続きに戸籍謄本は必要ですか?

電気・ガス・水道については、お客様番号と新しい契約者の情報だけで受け付けられ、戸籍謄本の提出まで求められないことが一般的です。一方、携帯電話の承継や固定電話の名義変更では、死亡の事実と続柄がわかる書類(除籍謄本、住民票の除票など)の提出を求められるのが通常です。必要書類の組み合わせは事業者により異なりますので、最新の情報は各事業者の公式サイト・窓口でご確認ください。

Q. 故人の携帯を解約したいのですが、契約先が分かりません。

まず端末本体、請求書や郵便物、通帳の引落し履歴、クレジットカードの明細を確認してください。端末が起動できれば、設定画面から契約者名やキャリア名を確認できることがあります。それでも判明しない場合は、通帳の引落し名義から事業者を特定していく方法が現実的です。あわせて、端末内の写真や連絡先で必要なものは、解約前に取り出しておくことをおすすめします。

Q. 口座凍結で引き落としができず、督促状が届きました。どうすればよいですか?

放置せず、すぐに各事業者へ電話し、契約者が亡くなったこと、口座が凍結されて引落しができないことを説明してください。多くの事業者は払込用紙の送付や支払期日の猶予に応じてくれます。未払分は相続人の方が立て替えて支払い、領収書を保管しておけば、後の遺産分割協議で精算できます。故人の口座から引き出して支払うことは、相続放棄ができなくなるおそれがあるため避けてください。

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※免責事項:本記事は2026年9月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。事業者ごとの受付方法・必要書類・料金の取扱いは変更されることがあります。最新の情報は各事業者・各自治体の公式サイト・窓口でご確認いただくか、専門家にお問い合わせください。

この記事の監修

株式会社 相続サポートセンター(みらいグループ)

税理士法人みらいを中心に、行政書士・社労士・不動産の専門家が連携。西東京市を拠点に、相続手続き・遺言書作成のワンストップサポートを提供しています。

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