手続き2026年8月9日最終更新: 2026.08.09

この記事の要点

  • 死亡届を役所に出しても、銀行口座が自動的に凍結されるわけではない。凍結されるのは銀行が名義人の死亡を知った時点
  • 凍結されると入出金だけでなく、公共料金・家賃の引落しやカード決済も止まる。年金の振込も所定の手続きが必要になる
  • 「凍結解除」という単独の手続きは存在しない。相続手続きを完了して払戻し・名義変更を受けることが、実質的な解除にあたる
  • 凍結前に慌てて引き出すのは危険。相続放棄ができなくなるおそれ(民法第921条第1号)や、他の相続人との紛争につながる

「三井住友銀行の凍結を解除したい」「みずほ銀行に死亡の連絡をしたら口座が使えなくなった」「本人以外でも通帳を解約できるのか」。ご家族が亡くなった直後、口座の凍結をめぐるご相談は途切れることがありません。

この記事では、口座はいつ凍結されるのか、凍結によって何が止まるのか、そして「凍結解除」という言葉の正しい意味を整理します。あわせて、凍結前にお金を引き出すことのリスクと、急いで対応すべき公共料金の引落し口座の変更についても解説します。なお、金融機関ごとの具体的な取扱いや必要書類は変更されることがありますので、最新の情報は各金融機関の窓口・公式サイトでご確認ください

口座凍結のタイミング

死亡届では自動凍結されない

よくある誤解が、「役所に死亡届を出すと、銀行にも情報が伝わって口座が凍結される」というものです。これは正しくありません。死亡届の情報が市区町村から金融機関へ自動的に共有される仕組みは、一般的にはありません。

凍結されるのは「銀行が死亡を知った時点」

実際に口座が凍結されるのは、金融機関が名義人の死亡を把握した時点です。把握のきっかけとしては、次のようなものが挙げられます。

  • 相続人や親族から銀行へ死亡の連絡があった
  • 相続手続きの相談で来店した
  • 新聞の訃報欄や葬儀の案内などで銀行が把握した
  • 取引店の担当者が地域の情報として知った

したがって、亡くなった直後にキャッシュカードで引き出せてしまうケースは実際にあります。しかし、それは「引き出してよい」という意味ではありません。この点は後述します。

なぜ凍結するのか

金融機関が口座を凍結するのは、意地悪ではなく相続人全員の財産を守るためです。亡くなった方の預金は、その時点から相続人全員の共同財産になります。相続人の一人が勝手に引き出せてしまうと、他の相続人の権利が侵害され、金融機関も二重払いの責任を問われかねません。凍結は、遺産分割が確定するまで財産を保全する措置なのです。

凍結されると何が止まるのか

口座が凍結されると、入出金だけでなく、その口座に紐づいたあらゆる取引が停止します。見落としやすいのは次のものです。

  • 公共料金の引落し 電気・ガス・水道・電話・インターネットなど。引落しができないと、督促や供給停止につながることがあります。
  • 家賃・地代・管理費の引落し 賃貸にお住まいだった場合や、賃貸物件を借りていた場合。
  • クレジットカードの決済 引落し不能となり、カード会社から連絡が来ます。
  • 各種保険料の引落し 放置すると失効するおそれがあります。
  • 年金の振込 年金は死亡により受給権が消滅するため、年金事務所等への届出が必要です。未支給年金がある場合は所定の請求手続きを行います。詳しくは遺族年金もご確認ください。
  • 入金(振込) 停止されるのは出金だけではありません。取引先からの入金なども受けられなくなります。

とくに賃貸物件を貸しておられた方の場合、家賃の入金先が凍結されると入居者にも影響が及びます。早めに入金先の切替えを案内する必要があります。

「凍結解除」という単独の手続きは存在しない

ここが最も重要なポイントです。検索では「三井住友銀行 凍結解除」「みずほ銀行 死亡 手続き」といった調べ方をされる方が多いのですが、元の状態に戻して口座を使えるようにする「解除」という手続きは、原則として存在しません

凍結された口座について相続人ができるのは、次のいずれかです。

  1. 相続手続きを完了して払戻しを受ける(解約) 最も一般的な方法です。書類を揃えて申請し、相続人の口座へ入金してもらいます。この完了をもって、実質的に「解除された」状態になります。
  2. 相続手続きを完了して名義を変更する 口座そのものを相続人名義に引き継ぐ方法です。取扱いは金融機関によって異なります。
  3. 仮払い制度で一部を引き出す 相続手続きの完了前に、民法第909条の2に基づき一定額を単独で引き出す方法です。詳しくは預貯金の払戻し制度をご覧ください。

つまり、「解除の方法」を探している方が本当に必要としているのは、相続手続きの進め方です。銀行ごとの具体的な流れは三菱UFJ銀行ゆうちょ銀行の記事で解説しています。所要期間の目安は銀行の相続手続きは何日かかる?をご覧ください。

本人以外が通帳を解約するための要件

「本人以外でも解約できますか」というご質問には、相続人であることを書類で証明できれば可能ですとお答えしています。窓口で口頭で「息子です」と伝えるだけでは足りません。一般的に求められるのは次の書類です。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書
  • 遺産分割協議書または遺言書(ある場合)
  • 金融機関所定の相続手続依頼書(相続人全員の署名・実印の押印を求められるのが一般的)
  • 被相続人の通帳・キャッシュカード、窓口へ行く方の本人確認書類

ポイントは、「相続人の一人であること」だけでは足りず、「相続人が誰と誰か」を確定させる必要があるという点です。だからこそ被相続人の出生からの戸籍が求められます。この負担を軽くするのが法定相続情報一覧図で、複数の金融機関がある方には特に有効です。戸籍集めの具体的な方法は戸籍謄本の収集方法をご覧ください。

なお、遺言書で遺言執行者が指定されている場合は、執行者が手続きを行えるのが一般的です(遺言執行者参照)。

凍結前に引き出すことのリスク

「凍結される前に引き出しておいたほうがいいのでは」と考える方は少なくありません。しかし、これは強くおすすめできません。理由は3つあります。

1. 相続放棄ができなくなるおそれ

最も深刻なリスクです。民法第921条第1号は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認をしたものとみなすと定めています。引き出したお金を使ってしまうと、この「処分」に当たると評価され、相続放棄ができなくなるおそれがあります。

被相続人に借金があることが後から判明しても、放棄という選択肢が閉ざされてしまえば、その負債を引き継ぐことになりかねません。相続放棄には原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」という期限(民法第915条)もあります。まず相続財産調査で全体像を確認し、相続放棄の要否を判断してから行動してください。

2. 他の相続人とのトラブル

引き出した預金も相続財産であり、遺産分割の対象です。無断で引き出すと、他の相続人から「使い込みではないか」と疑われ、関係が決定的に悪化することがあります。当センターへのご相談でも、金額の大小にかかわらず、この一点から兄弟間の対立に発展したケースは少なくありません。

3. 使途の説明責任

やむを得ず引き出した場合でも、後の遺産分割協議で何にいくら使ったかを説明する責任が生じます。葬儀費用や入院費の精算に充てたのであれば、必ず領収書と明細を保管してください。記録がないと、たとえ正当な支出であっても立証が難しくなります。葬儀費用と相続税の記事もあわせてご確認ください。

当面の資金が必要な場合は、無断で引き出すのではなく、民法第909条の2の仮払い制度という正規の手段があります。1金融機関あたり150万円を上限に、単独で払戻しを請求できます。

公共料金の引落し口座変更は最優先で

凍結によって最も早く実害が出るのが、公共料金や家賃の引落しです。相続手続きには1〜3ヶ月程度かかるのが目安ですから、その間の支払いが止まってしまいます。

そこで、相続手続きと並行して、引落し口座の変更を急いでください。とくに次のケースでは最優先の対応が必要です。

  • 被相続人の自宅に配偶者や家族が住み続ける場合 電気・ガス・水道が止まると生活に直結します。契約者の変更と引落し口座の変更を、電力会社・ガス会社・水道局にそれぞれ連絡します。西東京市・東久留米市・清瀬市・新座市など、水道は自治体または事業者ごとに窓口が異なる点にご注意ください。
  • 賃貸物件に住んでいた場合 家賃の引落しが止まると滞納扱いになります。管理会社へ速やかに連絡してください。
  • 保険料の引落し 放置すると契約が失効し、受け取れるはずの保険金が受け取れなくなることがあります。

手順としては、まず通帳の直近1年分の引落し履歴を確認し、何がその口座から落ちているかを一覧にすることをおすすめします。凍結されてから慌てるより、この棚卸しを先にしておくほうが確実です。

まとめ

死亡届を出しても銀行口座は自動的には凍結されません。凍結されるのは、金融機関が名義人の死亡を知った時点です。そして、いったん凍結された口座について「解除」という単独の手続きはなく、相続手続きを完了して払戻しまたは名義変更を受けることが、実質的な解除にあたります。

本人以外が解約するには、戸籍によって相続人を確定させ、所定の書類を揃える必要があります。凍結前に慌てて引き出すことは、相続放棄ができなくなるおそれや他の相続人との紛争を招くため避けてください。当面の資金は仮払い制度で、生活に直結する公共料金は引落し口座の変更で――この二つを並行して進めるのが、最も安全で現実的な進め方です。

口座が凍結され、公共料金の引落しや当面の支払いが止まってお困りではありませんか?

凍結された口座を動かすには、相続人の確定から所定の書類提出まで一連の手続きが必要です。何から着手すべきかの整理と、金融機関ごとの手続き代行をお任せいただけます。

西東京市ひばりが丘の相続サポートセンターなら、戸籍収集から遺産分割・不動産名義変更・相続税申告まで、税理士・行政書士・司法書士が連携してワンストップで対応します。初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。

よくある質問

Q. 死亡届を出したら銀行口座は自動的に凍結されますか?

いいえ。死亡届の情報が市区町村から金融機関へ自動的に共有される仕組みは、一般的にはありません。口座が凍結されるのは、金融機関が名義人の死亡を把握した時点です。相続人からの連絡や、相続手続きの相談で来店したことがきっかけになるのが通常です。

Q. 「凍結解除」の手続きだけをすることはできますか?

原則としてできません。凍結された口座を元どおり使えるようにする「解除」という単独の手続きは存在せず、相続手続きを完了して払戻し(解約)または名義変更を受けることが、実質的な解除にあたります。相続手続きの完了前に当面の資金が必要な場合は、民法第909条の2の払戻し制度(仮払い制度)を利用できる場合があります。

Q. 本人以外でも故人の通帳を解約できますか?

相続人であることを書類で証明できれば可能です。一般的には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と印鑑登録証明書、遺産分割協議書または遺言書、金融機関所定の相続手続依頼書などが必要になります。必要書類は金融機関により異なりますので、事前に窓口でご確認ください。

Q. 凍結される前にお金を引き出しても問題ありませんか?

おすすめできません。引き出して費消すると、民法第921条第1号の「相続財産の処分」に当たると評価され、単純承認をしたものとみなされて相続放棄ができなくなるおそれがあります。また、他の相続人から使い込みを疑われる原因にもなります。当面の資金が必要な場合は、仮払い制度という正規の手段をご利用ください。

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※免責事項:本記事は2026年8月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。金融機関ごとの取扱い・必要書類は変更されることがあります。最新の情報は各金融機関の窓口・公式サイトでご確認いただくか、専門家にお問い合わせください。

この記事の監修

株式会社 相続サポートセンター(みらいグループ)

税理士法人みらいを中心に、行政書士・社労士・不動産の専門家が連携。西東京市を拠点に、相続手続き・遺言書作成のワンストップサポートを提供しています。

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