要 この記事の要点
- 銀行の相続手続きはトータルで1〜3ヶ月が目安。内訳は戸籍収集に2週間〜1ヶ月、銀行の審査に2週間〜1ヶ月程度
- 実際に時間を食うのは銀行の審査ではなく、その前段階(戸籍収集と相続人間の合意形成)であることが多い
- 期間が延びる主な要因は、相続人が多い・戸籍が複数の自治体にまたがる・連絡が取れない相続人がいる・書類に不備がある、の4つ
- 短縮のコツは法定相続情報一覧図の活用と複数行への並行申請。※日数はいずれも目安であり、金融機関や状況により変動します
「銀行の相続手続きって、どのくらいで終わるものですか」。これは、西東京市・東久留米市の当センターに寄せられるご相談の中でも、とくに多い質問のひとつです。生活費の目処を立てたい、相続税の申告期限が気になる、遠方から何度も来られない――理由はさまざまですが、期間の見通しが立たないことは大きな不安につながります。
結論としては、1つの銀行につき、着手から入金までトータル1〜3ヶ月程度が目安です。この記事では、その期間の内訳を段階別に分解し、どこで時間がかかっているのか、何をすれば短縮できるのかを解説します。なお、以下の日数はすべてあくまで目安です。金融機関の運用や個別の事情によって変動しますので、正確な所要日数は各金融機関にご確認ください。
全体の期間の目安
銀行の相続手続きは、大きく「①相続人・財産の確定」「②書類の収集と作成」「③銀行への申請と審査」の3つの局面に分かれます。ざっくりとした目安は次のとおりです。
- 戸籍の収集:2週間〜1ヶ月程度
- 遺産分割協議・協議書の作成:数日〜数ヶ月(合意の状況次第で大きく変動)
- 銀行への申請から入金まで:2週間〜1ヶ月程度
これらを足し合わせると、トータル1〜3ヶ月という感覚になります。多くの方は「銀行に書類を出してから時間がかかる」とイメージされますが、実際に読みにくいのはその手前の準備段階です。とくに遺産分割の話し合いが難航すると、半年以上かかることも珍しくありません。
段階別の所要日数
ステップ1:死亡の届出と口座凍結(数日〜)
死亡届を役所に提出しても、その情報が自動的に銀行へ伝わるわけではありません。銀行が名義人の死亡を知った時点で口座が凍結されます。詳しくは死亡による口座凍結はいつから?で解説しています。
ステップ2:残高証明書の取得(1〜2週間程度)
相続財産を確定させるため、相続開始日時点の残高証明書を請求します。窓口での申込みから発行まで1〜2週間程度を見ておくとよいでしょう。相続税の申告が必要になりそうな場合は、この書類が土台になります。
ステップ3:戸籍の収集(2週間〜1ヶ月程度)
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と、相続人全員の戸籍を集めます。ここが第一の関門です。本籍地が1か所であれば数日で済むこともありますが、転籍を繰り返している方の場合は各自治体へ郵送請求を重ねることになり、1ヶ月以上かかることもあります。
現在は、本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できる「広域交付」の仕組みが利用できる場合があります(請求できる方の範囲や対象となる戸籍には制限があります)。詳しくは戸籍謄本の収集方法をご覧ください。
ステップ4:遺産分割協議と協議書の作成(数日〜数ヶ月)
誰がどの預金を取得するかを相続人全員で決め、遺産分割協議書を作成します。全員が近隣にお住まいで意見が一致していれば1週間程度で整いますが、遠方に相続人がいる場合や意見が割れている場合は大きく延びます。まとまらない場合の対応は遺産分割協議がまとまらない場合をご覧ください。
ステップ5:銀行への申請(当日)
揃えた書類と銀行所定の相続手続依頼書を窓口へ提出します。窓口での所要時間は1時間前後が目安ですが、相続手続きは予約制としている店舗もあるため、事前に電話で確認しておくと二度手間を防げます。
ステップ6:銀行の審査と払戻し(2週間〜1ヶ月程度)
提出された書類は、支店ではなく本部の相続センターなどで確認されるのが一般的です。ここで2週間〜1ヶ月程度を要します。書類に不備があると差し戻され、その分だけ延びます。ゆうちょ銀行のように3段階の手続きを踏む金融機関では、さらに時間がかかる傾向があります(ゆうちょ銀行の相続手続き参照)。
期間が延びる4つの要因
1. 相続人が多い・関係が複雑
相続人が増えるほど、集める戸籍も印鑑証明書も増え、押印を回す時間も増えます。とくに代襲相続が発生していたり、兄弟姉妹が相続人になるケースでは、被相続人の親の戸籍まで遡る必要があり、収集の負担が跳ね上がります。
2. 戸籍が複数の自治体にまたがる
転籍が多い方の戸籍は、1か所ずつ順に辿るしかありません。郵送請求では、請求書の作成、定額小為替の準備、往復の郵送で1自治体あたり1〜2週間かかることもあります。これが3か所、4か所と続くと、それだけで1ヶ月を超えます。
3. 相続人と連絡が取れない
疎遠な相続人がいる場合、まず住所を調べて連絡を取るところから始まります。返信がなければ手続き全体が止まります。所在が分からない場合は相続人が行方不明の場合の手続きが必要になり、期間は大きく延びます。
4. 書類の不備による差し戻し
最も避けたいのがこれです。印鑑証明書の有効期限切れ、実印と印影の不一致、署名の漏れ、戸籍の欠落――こうした不備が1つあるだけで、書類が返送され、直して再提出し、再び審査待ちとなります。1回の差し戻しで2〜3週間が失われると考えてください。
期間を早めるコツ
法定相続情報一覧図を活用する
最も効果が大きいのがこれです。法定相続情報証明制度を使うと、集めた戸籍一式を法務局に提出して、相続関係を1枚にまとめた「法定相続情報一覧図の写し」の交付を受けられます。手数料は無料で、必要な通数を交付してもらえます。
この一覧図があれば、多くの金融機関で戸籍一式の代わりとして使えます。銀行ごとに戸籍の束を提出して返却を待つ、という往復が不要になるため、複数の金融機関がある方ほど短縮効果が大きいのが特徴です。
複数の銀行へ並行して申請する
「A銀行が終わってからB銀行」と順番に進めると、単純に期間が2倍3倍になります。一覧図と印鑑証明書を必要通数だけ用意し、同時並行で申請するのが鉄則です。西東京市・新座市周辺では、ゆうちょ銀行に加えて複数の金融機関に口座をお持ちの方が多く、この工夫が効きます。
最初に必要書類を電話で確認する
金融機関ごとに所定の依頼書や求める書類は異なります。窓口へ行く前に電話で「相続手続きに必要な書類」「予約の要否」を確認しておくだけで、無駄足と差し戻しを大きく減らせます。
印鑑証明書は取得のタイミングを合わせる
印鑑証明書には「発行後○ヶ月以内」という有効期限が設けられているのが一般的です。早く取りすぎると期限切れで取り直しになります。提出の目処が立ってから、まとめて取得するのがコツです。
専門家に依頼した場合の期間
専門家に依頼すると、戸籍収集や書類作成が並行して進み、書類の不備による差し戻しも起きにくくなります。手続き全体としては1〜2ヶ月程度が目安となることが多いですが、これも相続人の人数や遺産分割の合意状況によって変動します。
依頼のメリットは、期間そのものよりも見通しが立つことにあります。「今どの段階で、次に何を待っているのか」が明確になるため、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)や、遺産分割の予定から逆算した進行管理ができます。費用感については相続手続きの費用をご覧ください。
まとめ
銀行の相続手続きにかかる期間は、戸籍収集に2週間〜1ヶ月、銀行の審査に2週間〜1ヶ月、トータルで1〜3ヶ月というのがおおよその目安です。ただし、これらはあくまで目安であり、相続人の人数や遺産分割の状況によって大きく変わります。
期間を左右するのは銀行の処理速度よりも、その前段階の準備です。法定相続情報一覧図を早めに用意し、複数の金融機関へ並行して申請する。この2点を意識するだけで、体感の期間は大きく変わります。
▶ いつ終わるのか見通しが立たないまま、銀行と役所を往復し続けていませんか?
手続きが長引く原因の多くは、書類の不備と順番の組み立てにあります。戸籍収集から複数行への並行申請まで、段取りごとお引き受けします。
西東京市ひばりが丘の相続サポートセンターなら、戸籍収集から遺産分割・不動産名義変更・相続税申告まで、税理士・行政書士・司法書士が連携してワンストップで対応します。初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 銀行に書類を提出してから入金まで何日かかりますか?
目安としては2週間〜1ヶ月程度です。提出された書類は支店ではなく本部の相続担当部署で確認されるのが一般的なため、窓口で完結せず日数を要します。書類に不備があると差し戻しとなり、さらに2〜3週間程度延びることがあります。正確な日数は金融機関により異なりますので、窓口でご確認ください。
Q. 相続手続きは複数の銀行で同時に進めてよいですか?
問題ありません。むしろ同時並行で進めることをおすすめします。順番に進めると期間が単純に積み上がってしまいます。法定相続情報一覧図の写しを必要通数用意し、印鑑証明書も通数を揃えておけば、複数の金融機関へ同時に申請できます。
Q. 急いでいるのですが、手続きを早める方法はありますか?
最も効果的なのは、法定相続情報一覧図を先に用意することと、窓口へ行く前に必要書類を電話で確認して不備をなくすことです。なお、葬儀費用など当面の資金が急ぎで必要な場合は、相続手続きの完了を待たずに民法第909条の2の払戻し制度(仮払い制度)を利用できる場合があります。
Q. 相続税の申告期限に間に合わないことはありますか?
相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。銀行の手続き自体が1〜3ヶ月程度の目安であることを考えると、早めに着手すれば通常は間に合います。ただし、遺産分割協議が長引くと期限が迫ることがあります。分割が確定しないまま期限を迎える場合の取扱いもありますので、早めに専門家へご相談ください。