要 この記事の要点
- 一本化の本質は「1人が全部やる」ことではなく、資料を一度集め、期限の責任者を1人に決めることです
- 窓口が分かれると起きるのは同じ資料の二重提出・情報の伝達ロス・誰も期限を見ていない空白の3つです
- 税務申告・登記申請・紛争の代理は一本化しても担当は資格者のまま。ここは法律上動かせません
- 一本化が効くのは財産の種類が複数ある場合、相続人が多い場合、相続税の申告がある場合です
相続の相談先を調べると、税理士、司法書士、弁護士、行政書士、銀行、信託銀行と選択肢が並び、どこに行けばよいのか分からなくなります。そして実際に動き始めると、別の専門家を紹介され、同じ説明をもう一度することになるという場面が出てきます。
「ワンストップ」という言葉はよく使われますが、中身が説明されることは少ないように感じます。本記事では、窓口を一本化すると具体的に何が変わるのか、逆に一本化しても変わらないのはどこかを、実務の工程に即してご説明します。誰に相談すべきかという専門家選びそのものは相続の相談は誰にする?で扱っていますので、本記事は「一本化の中身」に絞ります。
相談窓口を一本化すると何が変わる?
資料を一度集めれば足り、連絡相手が変わらず、期限を管理する責任者が明確になることの三点が最も大きな変化です。
一本化の価値は「楽になる」という感覚的なものではなく、具体的な3点に分解できます。
| 変わること | 一本化しない場合 | 一本化した場合 |
|---|---|---|
| 資料の提出回数 | 税理士・司法書士・金融機関にそれぞれ戸籍と協議書を提出。同じ説明を3回 | 一度お預かりした資料を各担当へ回します。説明は1回 |
| 連絡相手 | 工程が変わるたびに担当者が変わり、前の経緯を知らない相手に説明し直す | 窓口は変わりません。経緯は引き継がれています |
| 期限の管理 | 相続放棄3か月、申告10か月、登記3年を誰も通して見ていない状態が生じます | 全期限を1か所で管理し、逆算して着手時期をご案内します |
| 手戻り | 協議書の書き方が登記では足りず作り直す、といった事態が起こります | 登記と税務の両方で通る形を最初から想定して作ります |
| 判断のタイミング | 税務の有利不利を知らずに分け方を決めてしまうことがあります | 分け方を決める前に税務の観点を確認できます |
とくに4つ目と5つ目は、金額に直結します。遺産分割協議書の不動産の表示が登記事項証明書と一致していないと、法務局で受理されず作り直しになることがあります(遺産分割協議書のよくある失敗5つ)。相続人全員の実印を集め直すのは、現実的にかなり重い作業です。
窓口が分かれていると何が起きる?
同じ資料を何度も出すことになり、工程の間で情報が落ち、期限を誰も見ていない空白の期間が生まれます。
実際にご相談をいただくケースから、よくある詰まり方を挙げます。
| 起きること | 具体的な場面 | 結果 |
|---|---|---|
| 二重の資料提出 | 銀行に提出した戸籍の原本が返ってくるのを待ってから、法務局へ出す | それだけで3週間から1か月の遅れ |
| 情報の伝達ロス | 分け方を決めた経緯を知らない担当者が協議書を作り、意図と違う内容になる | 署名の直前に作り直し |
| 期限の空白 | 協議がまとまらないまま10か月が近づき、未分割で申告することになる | 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が当初申告で使えない場面が生じます |
| 順序の逆転 | 分け方を決めてから税理士に相談し、特例が使えない分け方だったと分かる | 取り返しがつかないことがあります |
| 責任の所在が曖昧 | 「そちらで聞いていると思っていた」という空白 | 手続きが数か月止まる |
3つ目は特に注意が必要です。相続税の申告期限は相続税法第27条第1項により、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。配偶者の税額軽減(相続税法第19条の2)や小規模宅地等の特例(租税特別措置法第69条の4)は、申告期限までに遺産が分割されていることが原則の要件とされています。未分割の場合は所定の手続きを取ることで後から適用を受けられる道もありますが、手続きと期限の管理が必要になります。
つまり分け方の話し合いと税務の検討は、並行して進めなければならないのです。窓口が分かれているとこの並行がうまくいきません。
ワンストップの中身はどうなっている?
書類収集と金融機関手続きと進行管理を当センターが担い、税務は税理士、登記は司法書士、紛争は弁護士が担当する形です。
当センターにご依頼いただいた場合の担当の分かれ方をお示しします。隠さずに書きます。
| 工程 | 担当 | 根拠 |
|---|---|---|
| 戸籍収集・相続人調査・相続関係説明図 | 当センター | 資格を要しない事実行為です |
| 財産調査・残高証明書の請求・名寄帳の取得 | 当センター | 同上 |
| 金融機関の相続手続き・各種解約 | 当センター | 相続人からの委任に基づき使者として取り次ぎます |
| 遺産分割協議書の作成 | 行政書士 | 行政書士法第1条の2が権利義務に関する書類の作成を業務と定めています |
| 相続税の申告・税務相談 | 税理士(税理士法人みらい) | 税理士法第2条が税理士の業務と定め、同法第52条が税理士でない者の税理士業務を禁じています |
| 不動産の相続登記の申請 | 司法書士 | 司法書士法第3条が登記に関する手続の代理を業務と定めています |
| 紛争の交渉・調停や審判の代理 | 弁護士 | 弁護士法第72条が弁護士以外の法律事務の取扱いを禁じています |
| 全体の進行管理・期限管理 | 当センター | 各担当への引き継ぎと期限の逆算を一手に行います |
当センターは株式会社です。士業ではありませんので、税務申告や登記申請を当センターの名義で行うことはできません。できるのは、資格を要しない作業を引き受け、資格が必要な工程へ適切なタイミングで引き継ぐことです。
この「引き継ぎのタイミング」が一本化の実質です。たとえば財産調査の段階で相続税の基礎控除(相続税法第15条により3,000万円に600万円と法定相続人の数を掛けた額を加えた額)を超えそうだと分かれば、分け方を決める前に税理士へつなぎます。超えなければ税理士の関与は不要です。
一本化できないのはどこ?
税務申告と登記申請と紛争の代理は資格者の独占業務であるため、窓口を一つにしても担当者そのものは変わりません。
「全部お任せください」とだけ書かれた窓口にはご注意ください。独占業務の処理方法が示されていない場合、実態は下請けへの丸投げか、途中で手続きが止まるかのどちらかになりがちです。
| 確認すべきこと | なぜ確認すべきか |
|---|---|
| 相続税の申告は誰が行うのか | 税理士以外が行えば税理士法第52条に違反します。グループ内の税理士か、提携先か、紹介だけかを確認してください |
| 登記申請は誰が行うのか | 司法書士以外は申請を代理できません。費用が別途か込みかも確認してください |
| 争いになったらどうなるのか | 弁護士でなければ交渉と代理はできません。紹介を受けられるのか、そこで終了なのかで大きく違います |
| 費用の総額はいくらか | 一本化されていても、税理士報酬・司法書士報酬は別途になるのが一般的です |
| 誰が期限を管理するのか | ここが曖昧だと一本化の意味が半減します |
当センターの場合、相続税申告は税理士法人みらいの税理士が担当し、登記は提携する司法書士が担当します。紛争性のある案件は弁護士をご紹介し、当センターでは交渉を行いません。この線引きは守ります。
一本化すると費用は安くなる?
各担当の報酬そのものは変わりませんが、資料の重複取得や手戻りが減るため総額では抑えられることが多くなります。
正直に申し上げると、一本化しても税理士報酬や司法書士報酬が割引されるわけではありません。安くなるのは別の部分です。
| 抑えられるもの | 内容 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 戸籍の重複取得 | 一度集めた戸籍と法定相続情報一覧図を全工程で使い回せます | 数千円から1万円程度 |
| 印鑑登録証明書の取り直し | 有効期限の管理ができるため期限切れによる再取得が減ります | 数百円×相続人の人数×回数 |
| 遺産分割協議書の作り直し | 登記と金融機関の両方で通る形を最初から作ります | 作成費用の再発生と相続人全員の再押印の手間 |
| 未分割申告に伴う追加の手続き | 期限を逆算して分割を間に合わせる段取りを取ります | 追加の申告手続きの費用 |
| 移動と休暇のコスト | 窓口訪問と郵送の往復が減ります | 有給休暇の日数と交通費 |
当センターの公式料金は次のとおりです(税別)。初回相談は無料です。
| サービス | 料金(税別) |
|---|---|
| 遺言書作成支援 | 250,000円〜 |
| 遺言の執行 | 遺産総額の0.6%(最低600,000円) |
| 遺産整理業務 | 遺産総額の0.6%(最低600,000円) |
相続税申告料、登記手数料、司法書士報酬、実費は別途必要です。費用の比較の考え方は相続手続きの費用、相場の一覧は相続手続きの費用はいくら?をご覧ください。
一本化にデメリットはある?
手続きが少ない場合は割高になることがあり、争いのある相続では最初から弁護士に依頼したほうが早い場面もあります。
一本化が常に正しいわけではありません。向かない場面を挙げます。
| 向かない場面 | 理由 | 代わりの進め方 |
|---|---|---|
| 財産が1行の預金だけ、相続人も少ない | 最低料金のほうが高くなる可能性があります | 金融機関に必要書類を確認してご自身で進めてください |
| すでに相続人の間で争いになっている | 交渉と代理ができるのは弁護士だけです | 最初から弁護士にご相談ください |
| 不動産の登記だけが残っている | 司法書士に直接依頼するほうが簡潔です | 司法書士へ直接ご依頼ください |
| 相続税の申告だけが必要 | 税理士に直接依頼するほうが簡潔です | 税理士へ直接ご依頼ください |
| ご自身で進めるのが苦でなく、時間も取れる | ご自身で十分に進められます | 当サイトの記事とチェックリストをご活用ください(相続手続きチェックリスト) |
当センターでも、ご相談のなかで「これはご自身で進められます」とお伝えすることがあります。初回相談は無料ですので、まず判断材料を持ち帰っていただく使い方でも構いません。
一本化が効くのはどんなケース?
預貯金と不動産の両方がある場合や相続人が三名以上の場合、相続税の申告が必要な場合に効果がはっきり出ます。
効果が出る条件を整理します。
| 条件 | 効く理由 |
|---|---|
| 預貯金と不動産の両方がある | 同じ戸籍と遺産分割協議書を金融機関と法務局の双方で使います。表記の整合が最初から取れます |
| 金融機関が3か所以上ある | 法定相続情報一覧図による同時申請と印鑑登録証明書の期限管理が効きます |
| 相続人が3名以上、または遠方に分かれている | 書類の回送と進捗の連絡を一手に引き受けられます |
| 相続税の申告が必要になりそう | 分け方を決める前に税務の観点を確認できます。期限10か月の逆算も一本で管理します |
| 相続人のなかに疎遠な方や高齢の方がいる | 手続きの前に法的な整理が必要です。順序を間違えると協議そのものが無効になりかねません |
| 何から手をつけるか分からない | 最初の順序を決めるだけで動き出せることが多くあります |
当センターは西東京市ひばりが丘北を拠点に、東久留米市・清瀬市・新座市のお客様に対応しています。この地域は不動産登記が東京法務局田無出張所、相続税が東村山税務署、家庭裁判所が東京家庭裁判所立川支部という組み合わせになります(新座市など埼玉県内の不動産・税務は埼玉県内の管轄です)。管轄の窓口を押さえた段取りを組めるのも、地域に根ざした窓口の利点です。
まとめ:結局どうすればよい?
窓口の一本化とは、1人が全部やることではありません。資料を一度集めれば足りること、連絡相手が変わらないこと、期限の責任者が1人であることの3つが本質です。
窓口が分かれていると、同じ戸籍を何度も出すことになり、分け方を決めた経緯が次の担当に伝わらず、相続放棄の3か月や申告の10か月を誰も通して見ていない期間が生まれます。とくに分け方の決定と税務の検討は並行して進める必要があり、順序を逆にすると取り返しがつかないことがあります。
一方で、税務申告は税理士、登記申請は司法書士、紛争の代理は弁護士という独占業務の線は、一本化しても動きません。当センターは株式会社として資格を要しない作業と進行管理を担い、適切なタイミングで有資格者へ引き継ぎます。「全部できます」とは申し上げません。
財産が1行の預金だけであれば、ご自身で進めていただくのが合理的です。預貯金と不動産の両方がある、相続人が3名以上いる、相続税の申告がありそうという場合は、一度ご相談ください。初回相談は無料です。平日9:00〜18:00、042-439-6523でお受けしています。
▶ 同じ説明を何度も繰り返しては、いませんか?
戸籍と資料を一度お預かりし、金融機関・登記・税務の各工程へ当センターが引き継ぎます。期限の管理も一本で行いますので、相続放棄の3か月や申告の10か月を取りこぼす心配がなくなります。
西東京市ひばりが丘の相続サポートセンターなら、戸籍収集から遺産分割・不動産名義変更・相続税申告まで、税理士・行政書士・司法書士が連携してワンストップで対応します。初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 相続の相談を1か所で済ませることはできますか?
相談の窓口は1か所で済みます。ただし実際の担当は作業ごとに分かれます。相続税の申告は税理士、不動産の登記申請は司法書士、相続人の間に争いがある場合の交渉は弁護士しか行えないと法律で定められているためです。当センターは株式会社として、戸籍収集・財産調査・金融機関の手続き・全体の進行管理を担い、資格が必要な工程を有資格者へ引き継ぎます。ご依頼者から見れば連絡相手は変わらず、資料も一度集めるだけで済みます。
Q. 税理士と司法書士に別々に頼むのと、どちらが得ですか?
手続きが1つだけなら直接ご依頼いただくほうが簡潔です。たとえば登記だけ残っているなら司法書士へ、申告だけなら税理士へ直接お願いするのが合理的です。一方、預貯金と不動産の両方があり相続税の申告も必要という場合は、戸籍と遺産分割協議書を共通で使えるため、まとめてご依頼いただくほうが手戻りが減ります。特に協議書の不動産の表示が登記事項証明書と一致していないと法務局で受理されず作り直しになることがあり、その場合は相続人全員の実印を集め直すことになります。
Q. ワンストップと言いながら、結局たくさんの人が出てくるのでしょうか?
担当は分かれますが、ご依頼者とやり取りする窓口は変わりません。当センターが経緯を把握したうえで各担当へ引き継ぎますので、同じ説明を何度もしていただく必要はありません。ご依頼時には、相続税の申告を誰が行うのか、登記申請を誰が行うのか、費用が別途か込みかを明示します。逆に、この点を明示しない窓口はご注意いただいたほうがよいと考えています。
Q. まだ何も決まっていない段階でも相談できますか?
その段階こそご相談いただきたいタイミングです。相続は順序を間違えると取り返しがつかないことがあります。たとえば分け方を決めてから税理士に相談し、小規模宅地等の特例が使えない分け方だったと分かるケースです。初回相談は無料ですので、現状をお聞かせいただければ、何から着手すべきか、ご自身で進められる部分はどこかを整理してお伝えします。ご依頼いただかなくても構いません。