要 この記事の要点
- 銀行の相続手続きは委任状があれば書類の取り寄せ・作成補助・提出・着金確認まで代行できます
- ただし相続人全員の署名と実印の押印は代行できません。ここは郵送でお願いすることになります
- 金融機関の数が増えるほど代行の効果は大きくなり、法定相続情報一覧図を使った同時並行申請が鍵になります
- 期間の目安は1行だけなら1〜2か月、4〜5行あると2〜4か月。費用は遺産整理業務として遺産総額の0.6%(最低600,000円・税別)です
「ゆうちょ銀行の必要書類を調べたけれど、平日に窓口へ行く時間が取れない」「3つの銀行に口座があって、どこから手をつけるべきか分からない」。西東京市・東久留米市・清瀬市・新座市のお客様から、こうしたご相談を多くいただきます。
銀行の相続手続きは、必要書類の一覧を見て諦めてしまう方が少なくありません。しかし実際には、手続きの大部分は代行が可能です。本記事では、どこまで代行できてどこからができないのか、依頼するとどう進むのかを具体的にご説明します。必要書類そのものについては口座凍結を解除するにはで解説していますので、本記事は「代行」に絞ります。
銀行の相続手続きは代行してもらえる?
委任状をいただければ書類の取り寄せから記入補助、必要書類の点検、提出、着金の確認までを代行でき、相続人の署名と押印だけが残ります。
金融機関の相続手続きは、法律上の独占業務ではありません。したがって相続人の方からの委任に基づき、使者として手続きを取り次ぐ形で代行できます。当センターのようなワンストップの会社、行政書士、司法書士、弁護士、信託銀行などが扱っています。
ただし代行できる範囲には境目があります。整理すると次のとおりです。
| 工程 | 代行できるか | 補足 |
|---|---|---|
| 金融機関への連絡・必要書類の確認 | 代行できます | 金融機関ごとに様式も要求も違うため、最初の電話確認が最も効きます |
| 所定様式の取り寄せ | 代行できます | 郵送またはダウンロードで入手します |
| 戸籍・除籍・改製原戸籍の収集 | 代行できます | 郵送請求も含めて代行します |
| 法定相続情報一覧図の作成と法務局への申出 | 代行できます | 複数行がある場合の最重要の工程です |
| 依頼書・協議書の記入補助と点検 | 代行できます | 差し戻しの原因を事前に潰す工程です |
| 相続人の署名・実印の押印 | 代行できません | ご本人の意思表示ですので、郵送でお願いします |
| 印鑑登録証明書の取得 | ご本人の印鑑登録証(カード)が必要です | 印鑑登録証(カード)があれば、ご家族などの代理人も取得できます(取扱いは各市でご確認ください)。マイナンバーカードがあればコンビニ交付も利用できます |
| 窓口への提出・郵送・進捗の照会 | 代行できます | 本人確認書類と委任状を添えて行います |
| 着金の確認とご報告 | 代行できます | 各行の完了状況を一覧で管理します |
| 相続人の間に争いがある場合の交渉 | 代行できません | 弁護士法第72条により弁護士以外は行えません |
つまりご依頼者に残るのは「署名して押印して返送する」という作業だけになります。ここを押さえておけば、依頼するかどうかの判断がしやすくなります。
代行を頼めるのは誰?
行政書士や司法書士、弁護士、信託銀行、そして当センターのようなワンストップの会社が扱っており、相続全体を見られるかどうかが選ぶ基準になります。
「銀行の手続きだけ」を切り出して頼むこともできますが、実際には不動産や相続税と連動することが多いため、依頼先の選び方で手間が変わります。
| 依頼先 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 当センターのようなワンストップの会社 | 預貯金だけでなく不動産・相続税・各種解約まで続く場合 | 株式会社ですので登記申請と税務申告は行えません。司法書士・税理士が担当します |
| 行政書士 | 遺産分割協議書の作成と金融機関手続きをあわせて頼みたい場合 | 登記申請と税務申告、紛争の代理は行えません |
| 司法書士 | 不動産の相続登記が中心で、預貯金もあわせて整理したい場合 | 司法書士法第3条の範囲が中心です。税務申告は行えません |
| 弁護士 | 相続人の間で争いがある、または争いになりそうな場合 | 費用は高めになりますが、交渉と調停の代理ができるのは弁護士だけです |
| 信託銀行の遺産整理業務 | 財産が大きく、幅広い金融資産がある場合 | 最低報酬が高めに設定されていることが一般的です |
どの士業が何をできるのかは相続の相談は誰にする?で整理しています。預貯金以外にも手続きが広がりそうな場合は、相続手続きは丸ごと任せられる?もあわせてご覧ください。
代行してもらうと何が変わる?
自分で進める場合に必要な往復と待ち時間が一本化され、複数の金融機関へ同時に申請できるようになることが最大の違いです。
同じ「3行に口座がある」ケースで、ご自身で進める場合と代行する場合を並べます。
| 工程 | ご自身で進める場合 | 代行する場合 |
|---|---|---|
| 必要書類の確認 | 3行それぞれに電話し、平日の日中に待たされながら聞き取り | まとめて確認し、要求の違いを一覧化 |
| 戸籍の収集 | 本籍地が複数あると郵送請求を何往復も。定額小為替の購入も必要 | 郵送請求を並行して進行 |
| 相続人の証明方法 | 戸籍の束を1行ずつ順番に回すと、3行で3か月以上かかることも | 法定相続情報一覧図の写しを3通用意し、3行へ同時に提出 |
| 印鑑登録証明書 | 1行目で使った証明書が3行目では期限切れになりがち | 必要枚数をまとめて取得していただき、申請時期を揃える |
| 書類の点検 | 不備があれば郵送で差し戻し。1回あたり2週間の遅れ | 提出前に点検するため差し戻しが起きにくい |
| 窓口・郵送 | 平日9時から15時の窓口に3回以上 | 代行 |
| 進捗の照会 | 行ごとに自分で電話 | 一覧で管理しご報告 |
差が最も大きく出るのは相続人の証明方法です。戸籍の束は原本還付してもらえますが、1行ずつ順番に回すと返却を待つ時間が積み上がります。法定相続情報証明制度を使えば写しを複数枚無料で交付してもらえるため、同時並行の申請が可能になります。この一手で全体の期間が短くなる場合があります。
銀行ごとに窓口はどう違う?
都市銀行は相続専用センターへの郵送、地域の金融機関は取引店、ゆうちょ銀行は全国の郵便局の貯金窓口が中心という傾向があります。
どこへ出すかを間違えると、それだけで数週間が失われます。類型ごとの一般的な傾向を整理します。
| 類型 | 一般的な窓口 | 代行で効く場面 |
|---|---|---|
| 都市銀行(メガバンク) | 相続手続きの専用センターへ郵送 | 様式の記入と添付書類の点検。詳細は三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の各記事をご覧ください |
| 地方銀行・信用金庫・信用組合 | 取引店の窓口 | 平日の来店の代行。多摩地域では取引店が遠い場合もあります |
| ゆうちょ銀行 | 全国の郵便局の貯金窓口 | 受付と審査の部署が分かれる独自の流れ。ゆうちょ銀行の相続手続きと貯金等相続手続請求書の書き方を参照 |
| ネット銀行・ネット証券 | Webフォームまたは電話で受付後、郵送 | 口座の存在自体に気づきにくい点が課題です(デジタル遺産の相続) |
| 農協・労働金庫 | 取引支店の窓口 | 出資金の払戻しが別手続きになることがあります |
なお金融機関ごとの様式・必要書類・内部運用は変更されることがあります。最新の情報は各金融機関の公式サイト・窓口でご確認ください。金融機関別の流れは金融機関別の相続手続きにまとめています。
代行を頼むとき何を用意する?
委任状と本人確認書類、そして印鑑登録証明書をご用意いただければ、残りの書類の収集と作成はこちらで進められます。
ご依頼時にお願いするものと、こちらで集めるものを分けて示します。
| 区分 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| ご用意いただくもの | 委任状(当センターが用意した書式にご署名・ご押印) | 相続人全員分が必要になる場合があります |
| ご用意いただくもの | 相続人の本人確認書類の写し | 運転免許証、マイナンバーカードなど |
| ご用意いただくもの | 印鑑登録証明書 | 金融機関の数に応じて必要枚数をまとめて取得していただきます |
| ご用意いただくもの | 通帳・キャッシュカード・証書など手元の資料 | 紛失していても手続きは可能です |
| こちらで収集 | 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人全員の現在戸籍 | 郵送請求を含みます |
| こちらで作成 | 相続関係説明図、法定相続情報一覧図 | 法務局への申出まで行います |
| こちらで作成 | 遺産分割協議書(行政書士が作成) | 分け方の決定はご相続人が行います |
| こちらで取り寄せ | 各金融機関の所定様式、残高証明書 | 相続税申告に使う残高証明書もあわせて請求します |
ここで注意が必要なのは戸籍の広域交付制度です。2024年3月から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書を請求できるようになりましたが、窓口へ本人が行く必要があり、郵送請求や代理人による請求には使えません。また対象は本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫の戸籍に限られ、兄弟姉妹の戸籍は対象外です。兄弟姉妹が相続人になるケースでは従来どおりの郵送請求が必要になります。
代行を頼むと期間はどうなる?
書類がそろってから着金までは二週間から一か月が目安で、戸籍の収集から数えると一行なら一から二か月ほどかかります。
段階ごとの目安を示します。いずれも目安であり、相続人の人数や戸籍の所在によって変動します。
| 段階 | 期間の目安 | 延びる要因 |
|---|---|---|
| 戸籍の収集 | 2週間〜1か月 | 本籍地が複数の自治体にまたがる、兄弟姉妹が相続人で広域交付が使えない |
| 法定相続情報一覧図の申出 | 1〜2週間 | 法務局の混み具合 |
| 遺産分割協議書への署名・押印 | 2週間〜1か月以上 | 相続人が遠方に分かれている、返送が遅い |
| 金融機関への提出から着金 | 2週間〜1か月(1行あたり) | 書類の不備、定期預金や投資信託が含まれる、貸金庫がある |
| 合計(1行のみ) | 1〜2か月 | |
| 合計(4〜5行) | 2〜4か月 | 同時並行できるかどうかで大きく変わります |
期間を左右するのは行数そのものよりも同時並行できるかです。段階ごとの詳しい日数は銀行の相続手続きは何日かかる?をご覧ください。
手続きが終わるまで生活資金が足りない場合は、民法第909条の2の預貯金の払戻し制度で一部を引き出せます(預貯金の払戻し制度の使い方)。
代行の費用はいくら?
当センターでは遺産整理業務として遺産総額の0.6%で最低600,000円(税別)が目安となり、実費と他の士業の報酬は別途必要です。
公式の料金表は次のとおりです(税別)。初回相談は無料です。
| サービス | 料金(税別) |
|---|---|
| 遺言書作成支援 | 250,000円〜 |
| 遺言の執行 | 遺産総額の0.6%(最低600,000円) |
| 遺産整理業務(戸籍収集から各種手続きまで一括) | 遺産総額の0.6%(最低600,000円) |
これとは別に、相続税申告料、登記手数料、司法書士報酬、そして実費がかかります。実費の主なものは戸籍謄本1通450円、除籍・改製原戸籍1通750円、郵送請求の定額小為替の発行手数料1枚200円程度、残高証明書の発行手数料(金融機関により数百円から千円台)です。いずれも目安であり、手数料は改定されることがあります。
専門家報酬の一般的な相場は相続手続きの費用はいくら?、自分でやる場合との総額比較は相続手続きの費用でご確認ください。
代行を頼んだほうがよいのはどんなケース?
金融機関が三か所以上ある場合や平日に動けない場合、相続人が遠方に分かれている場合は代行の効果がはっきり出ます。
正直なところ、ご自身で進めたほうが早いケースもあります。判断の目安をお示しします。
| 状況 | 判断の目安 |
|---|---|
| 口座が1行のみ、相続人は配偶者と子1人 | ご自身で進められます。まず金融機関に電話して必要書類を確認してください |
| 残高が少額で、簡易な手続きが使える | ゆうちょ銀行などは少額の簡易手続きがあります(ゆうちょ銀行の相続が少額の場合) |
| 金融機関が3か所以上ある | 代行の効果が大きい場面です。同時並行の段取りが要ります |
| 平日の日中に窓口へ行けない | 郵送と代行で解決できます(平日に役所や銀行へ行けない) |
| 相続人が遠方に分かれている | 書類の回送だけで数か月かかります(遠方に住んでいて相続手続きができない) |
| 証券口座・投資信託・外貨預金がある | 普通預金とは別の手順になり、移管先の口座開設が必要になることもあります |
| 不動産もある、相続税申告が必要そう | 同じ戸籍と協議書を使い回せるため、まとめてご依頼いただくほうが効率的です |
| 相続人の間ですでに争いになっている | 弁護士にご相談ください。当センターでは対応できません |
当センターは西東京市ひばりが丘北に事務所があり、東久留米市・清瀬市・新座市のお客様にも多くご利用いただいています。お近くの金融機関の取引店が遠い場合でも、郵送と代行で進められます。
まとめ:結局どうすればよい?
銀行の相続手続きは、必要書類の確認から戸籍の収集、様式の記入補助、提出、着金の確認までを代行できます。代行できないのは、相続人ご本人の署名と実印の押印、そして相続人間に争いがある場合の交渉です。印鑑登録証明書は、ご本人の印鑑登録証(カード)があればご家族などの代理人も取得できます(取扱いは各市でご確認ください)。つまりご依頼者に残るのは、署名して押印して返送するという作業だけになります。
代行の効果が最も大きく出るのは、金融機関が複数ある場合です。戸籍の束を1行ずつ回すのではなく、法定相続情報一覧図の写しを必要枚数そろえて同時に申請する。この段取りで全体の期間が短くなる場合があります。印鑑登録証明書の有効期限切れという典型的な失敗も避けられます。
1行だけで相続人も少ないのであれば、ご自身で進めていただくのが合理的です。3か所以上ある、平日に動けない、相続人が各地に分かれている。こうした場合は、一度ご相談ください。初回相談は無料です。平日9:00〜18:00にお電話いただければ、現状をお伺いしたうえで、どこから着手すべきかをお伝えします。
▶ 必要書類の一覧を見て、手が止まっていませんか?
戸籍の収集から法定相続情報一覧図の作成、各金融機関への同時申請、着金の確認までを代行します。複数の金融機関に口座がある方ほど、まとめてお任せいただくメリットが大きくなります。
西東京市ひばりが丘の相続サポートセンターなら、戸籍収集から遺産分割・不動産名義変更・相続税申告まで、税理士・行政書士・司法書士が連携してワンストップで対応します。初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 銀行の相続手続きだけ代行してもらうことはできますか?
できます。預貯金の手続きのみでもお受けしています。ただし不動産をお持ちの場合や相続税の申告が必要になりそうな場合は、同じ戸籍と遺産分割協議書を使い回せるため、まとめてご依頼いただいたほうが結果的に費用も時間も抑えられることが多いです。初回の無料相談で全体像を確認し、どこまでご依頼いただくかを決めていただく形で構いません。
Q. 委任状があれば銀行の窓口に行かなくていいのですか?
はい、窓口への提出や郵送は代行できます。ただし相続人ご本人の署名と実印の押印は代行できませんので、書類をお送りして返送していただく手順が入ります。また印鑑登録証明書は、印鑑登録証(カード)があればご家族などの代理人も取得できます(取扱いは各市でご確認ください)。マイナンバーカードがあればコンビニ交付も利用できます。委任状の書式は当センターでご用意し、どこに何を書いていただくかをご案内しますので、記入にお困りになることはありません。
Q. ゆうちょ銀行も代行してもらえますか?
代行できます。ゆうちょ銀行は全国の郵便局の貯金窓口が受付で、そこから貯金事務センターへ送られて審査されるという独自の流れになっており、受付から着金までに時間がかかる傾向があります。専用の貯金等相続手続請求書の記入にも独特の項目がありますので、記入補助と事前の点検で差し戻しを防ぎます。なお残高が少額の場合は簡易な手続きが使えることがあります。
Q. 手続きが終わるまで生活費が足りません。先に引き出せませんか?
民法第909条の2の預貯金の払戻し制度を使えば、遺産分割の前でも各金融機関から一定額を単独で払戻し請求できます。上限は一つの金融機関につき150万円と定められており、計算式は死亡時の預貯金額に3分の1を掛け、さらにご自身の法定相続分を掛けた額です。葬儀費用や当面の生活費に充てられます。ただし払戻しを受けた分は後の遺産分割で精算されますので、記録を残してください。